リレーとは、コイルと呼ばれる部分に一定以上の電流を流すことにより、接点と呼ばれる部分をON/OFFすることができる機器です。
この接点を電気回路に接続することによりスイッチのように電気をON/OFFすることが出来るようになります。 リレーと聞くと、陸上競技のリレーを想像される方が多いと思います。これはリレー(Relay)を直訳すると「中継する」意味に由来しますが、ここで解説するリレーも電気信号を中継する働きをします。
リレーは別名「継電器」とも呼ばれ、低電圧の制御回路と高電圧の動力回路を中継することができます。
この記事では、機械式の接点をもつ有接点リレーの構造を動作例を交えて解説します。この記事では無接点リレーについては解説していません。
目次
1. 有接点リレーの構造
有接点リレー(以下:リレー)の構造について解説します。
1-1. 構成部品の名称
以下の写真はIDEC製のリレー:RJ2S-CD-D24です。
①コイル
鉄芯に電線が巻かれた部分です。このコイルに電流を流すことにより内部の鉄芯に磁気が帯びて、磁力により後述する可動接点が引き寄せられます。
コイルに電流を流していない状態を「消磁(しょうじ)する」といいます。
②可動接点
コイルの励磁/消磁を切替えることにより動作する部分です。この可動接点が動作することで接点のON/OFFができるようになります。
③固定接点
コイルの励磁/消磁に関わらず動作しない部分です。この固定接点と可動接点が接触することにより接点のON/OFFができるようになります。
上の写真のリレーは固定接点が2ヶあり、可動接点と片方(右側)の固定接点が接触しています。詳細は後述しますが、a接点とb接点の役割を担っています。
④端子部分
電気回路を接続する部分です。基板に挿入したり、ソケットと呼ばれる部品に接続します。
1-2. 内部のイメージ図
リレー内部のイメージ図です。(絵心がなくてすいませんm(__)m)
このイメージ図は解説のため先ほどの写真のリレー:RJ2S-CD-D24の見た目とは異なります。予めご了承ください。
下部の水色で書かれた記号(A, B, C, +, -)が端子になります。
端子の番号は使用するリレーによって異なります。
2. リレーの動作例
スイッチとモータを用いてリレーの動作を解説します。以下の仕様の動作をさせる回路を解説します。
スイッチはDC24V用、モータはAC100V用とする。
接続イメージ
リレーの端子(+)と(-)にDC24V電源とスイッチが直列で接続されています。
端子(A)と(C)にはAC100V電源とモータが直列で接続されています。
回路の動作
① DC24V側のスイッチが押されていない状態では、リレーのコイルに電流は流れません。
② DC24V側のスイッチが押されるとコイルに電流が流れます。すると鉄芯に磁気が帯び、磁力により可動接点を引き寄せます。
③ 可動接点が引き寄せらると、固定接点の端子(A)にくっつきます。すると端子(A)と(C)が電気的に接続されます。
④ 端子(A)と(C)が電気的に接続されたため、モータに電流が流れて起動します。
⑤ スイッチを離すことによりコイルに電流が流れなくなり、鉄芯に帯びていた磁気はなくなります。すると可動接点Cはバネの力で固定接点Bとくっつきます。(①の状態に戻ります)
このとき、端子(A)と(C)は電気的に接続されていない状態になります。逆に端子(B)と(C)が接続されます。
3. 接点の種類(a接点とb接点)
先ほどの動作例で解説した固定接点の端子(A)はa接点と呼ばれ、逆に端子(B)はb接点と呼ばれています。可動接点の端子(C)はCOM接点と呼ばれています。
スイッチを押していないとき、つまりコイルに電流が流れていないとき、a接点とCOM端子の間は電気的に接続しておらず、接点間が開いた状態です。このことから、a接点はNO(ノーマルオープン)接点とも呼ばれています。
このとき、逆にb接点とCOM端子の間は電気的に接続されており、接点間は閉じた状態でした。b接点はNC(ノーマルクローズ)接点とも呼ばれています。
a接点は接点が開いている(NO:ノーマルオープン)
b接点は接点が閉じている(NC:ノーマルクローズ)
4. おわりに
有接点タイプのリレーについて解説しました。
- リレー内部にはコイルと接点がある
- コイルに電流を流すことにより接点の開閉ができる
- a接点はNO(ノーマルオープン)、b接点はNC(ノーマルクローズ)
以下の参考書は、リレーやリレー回路についてわかりやすく解説しているものです。
シーケンス制御を理解する前にはリレー回路を十分に理解する必要があります。本書はリレーやスイッチなど機器の原理を丁寧に解説しています。
さらにリレーを用いた自己保持回路や優先回路など色々な回路例を、タイムチャート付きで解説しています。
さらに機器の写真などの図はすべてカラーになっており、大変見やすくなっています。