NORインバース回路とは、OR回路と同じ動作をする回路です。
私が付けた造語になります。
OR回路は入力条件が多くなればなるほど、ラダープログラムとしては縦に長くなります。入力条件を一つの画面で見るためにはスクロールする手間がかかってしまいます。
NORインバース回路を使用することで、縦に長くないコンパクトにまとまったOR回路と同じ動作をする回路を作ることができます。
この記事では、NORインバース回路について解説します。
この記事中のPLCは三菱電機製シーケンサ:FX3G-60MT/ESS、ラダープログラムはソフトウェア:GX Works2を使用しています。
目次
1. 基本的なOR回路の形
OR回路を組む場合、おそらく下のラダープログラムのように組む方が多いと思います。
入力条件が3ヶの場合、見づらさは特に感じません。
入力条件が多くなると、1つの画面には収まらなくなります。
また、PLCによってはOR回路の入力条件の数に制限があるものがあります。
2. NORインバース回路の形
OR回路と同じ動作をする、NORインバース回路の解説をします。なぜNORインバースと呼ぶか、後ほど解説します。
こちらがNORインバース回路のラダープログラムです。
初見だと、「なんだこれ?」と思うかもしれませんが、これはOR回路と同じ動作をします。
【解説】
OR回路を反転させると、NOR(否定論理和)回路になります。
言い換えれば、NOR回路の反転もOR回路になります。
NOR回路とは、入力条件のいずれか1ヶでもONする(1になる)と、出力条件がOFFする(0になる)回路です。
OR回路を作るためには、NOR回路を反転させます。
ラダープログラムで反転させるには、インバース命令を使用します。
インバース命令は、直前まで(ラダープログラムの左側)の結果を反転させます。このラダープログラムでは、NOR回路を反転させてOR回路にしています。
長々と解説させて頂きましたが、一言でいうとNOR回路を反転させてOR回路にする!だけの内容です。
3. NORインバース回路の例題
下記仕様をNORインバース回路を用いて解説します。
いずれか1ヶでも押されるとランプ(Y0)が点灯する。
【解説】
X0~X7のa接点を並列で組む回路と同じ動作になります。入力条件が増えてきても、このNORインバース回路であれば縦長になることはありません。
4. おわりに
NORインバース回路について解説しました。
繰り返しになりますが、NORインバース回路とは一般的な名称ではありませんのでご注意ください。
初見でNORインバース回路を見ると、「なんだこれ?否定しすぎだろ…」と感じると思います。あまり深く考えずに、この形はOR回路と同じ!と覚えてしまうのがよいと思います。
最後に、私の経験上この回路はそこまで珍しいものではありません。OR回路は徹底してこの組み方をする方も見かけます。
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