【キーエンスKV】カウンタ(C)命令の指令方法とラダープログラム例

00_【キーエンスKV】カウンタ(C)命令の指令方法とラダープログラム例

キーエンスKVシリーズにおける「カウンタ」命令とは、カウンタと呼ばれるデバイスの現在値を加算するラダープログラム命令です。

カウンタとは、現在値が設定値と同じになる(カウントアップする)と、接点がONするデバイスです。

カウンタは「スイッチを押した回数」や「センサがワークを検出した回数」といったデバイスがONした回数を数える用途で広く使用されます。

この記事では、キーエンスKVシリーズにおけるカウンタ命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.11で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。
メモ
カウンタ命令はKV-8000・KV-7500/7300・KV-5500/5000/3000・KV-1000・KV-nanoシリーズで使用可能です。※2020年8月現在

カウンタを用いた命令には、本記事で解説するカウンタ(C)命令とは別にアウトカウンタ(OUTC)命令アップダウンカウンタ(UDC)命令があります。以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。

00_【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例 00_【キーエンスKV】アップダウンカウンタ(UDC)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】アップダウンカウンタ(UDC)命令の指令方法とラダープログラム例

1. カウンタ命令の指令方法

カウンタ命令には、1種類の指令方法があります。

  • C:カウンタ

Cはカウンタ(counter)の略称です。

メモ
カウンタ命令に微分実行型はありません。また、扱うデータの型を指定する「サフィックス」に対応した命令ではありません。

C:カウンタ命令

カウンタ命令は”C”と指令します。

こちらがカウンタ命令を使用したラダープログラム例です。

10_カウンタ命令

このラダープログラムは、入力リレーR0がONしている間、R1が3回ONするとカウンタC0がONします。

R0がOFFするとC0の現在値は0にリセットされ、接点がONしている場合はOFFします。


アウトカウンタ(OUTC)命令やアップダウンカウンタ(UDC)命令とは違い、リセット(RES)用の入力がありません。カウンタの現在値をリセットする場合は実行条件をOFFします。

10_カウンタ命令解説1


R0がONしている間、R1が3回ONするとカウンタC0はONします。カウンタ(C)命令には「ONした回数を数えるデバイス」「カウンタをONさせる回数」を指定する必要があります。

10_カウンタ命令解説2
メモ
カウンタをONさせる回数(↑の場合#3)は「カウンタの設定値」と呼びます。


先ほどのラダープログラムは、KV STUDIOの回路上でC 0 #3 R1と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。 (小文字でもOKです。)

10_命令挿入

CNT 0 #3 R1と入力してもOKです。

2.【例題①】カウンタの設定値が固定(定数)

下記仕様のラダープログラムをカウンタ(C)命令を用いて作成します。

仕様
スイッチ(R1)を3回押すと、ランプ(R500)が点灯する。
スイッチ(R0)を押すとランプ(R500)を消灯させ、カウンタの値を0にリセットする。

スイッチ(R1)を3回押されたことをカウントするためにカウンタを使用します。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題①_タイムチャート

入力リレーR1が3回ONすると、出力リレーR500がONします。入力リレーR0がONすると出力リレーR500はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

例題①_タッチパネル

スイッチ(R1)を3回押すとランプ(R500)が点灯します。スイッチ(R0)を押すとランプ(R500)を消灯させ、カウンタの値を0にリセットします。

スイッチ(R1)を押した回数はカウンタC0をします。カウンタC0の現在値はタッチパネル右上に表示します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

カウンタ(C)命令の実行条件にR0のb接点を使用することにより、R0がOFFしている間にカウンタC0の現在値が加算します。逆をいうと、R0がONするとカウンタC0の現在値が0にリセットされます。

カウンタ(C)命令の設定値に#3を指定することで、カウンタC0の設定値が3となります。加算する条件にR1を指定することで、スイッチ(R1)が押されるたびにカウンタC0は1ずつ加算されます。

出力リレーR500の実行条件にはカウンタC0のa接点を用います。出力リレーR500をONさせるとランプ(R500)が点灯します。

3.【例題②】カウンタの設定値が可変(データメモリ)

下記仕様のラダープログラムをカウンタ(C)命令を用いて作成します。

仕様
スイッチ(R1)をn回押すと、ランプ(R500)が点灯する。
スイッチ(R0)を押すとランプ(R500)を消灯させ、カウンタの値を0にリセットする。
ランプが点灯するまでの回数nはデータメモリDM0として、タッチパネルから変更可能とする。

【例題①】ではスイッチ(R1)を押してからランプ(R500)を点灯させるまでの回数は「3回」の固定値でした。今回は設定値をデータメモリDM0に代替してタッチパネルから変更できるようにします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

例題②_タッチパネル

スイッチ(R1)をDM0で設定した回数押すとランプ(R500)が点灯します。スイッチ(R0)を押すとランプ(R500)を消灯させ、カウンタの値を0にリセットします。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

【例題①】に対して、カウンタ(C)命令の設定値を#3からDM0に変更してあります。

タッチパネルからデータメモリDM0のデバイス値を変更することにより、カウンタC0の設定値が変わります。

例題②_ラダープログラム解説1

このように、カウンタの設定値をデータメモリなどのデバイスにすることで、ラダープログラムを変更することなくカウンタの設定値を変更することができます。

4. おわりに

キーエンスKVシリーズにおけるカウンタ(C)命令について解説しました。

三菱育ちの私の場合はリセット命令が必要ないことに最初は違和感を覚えましたが、回路がコンパクトにまとめられる点は良いと思いました。

アウトカウンタ(OUTC)命令は、三菱に近い考えで使用できるかと思います。(後日記事にまとめます。)

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