【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【キーエンスKV】

【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【キーエンスKV】

自己保持回路とは、入力条件がONすると出力がONして、その後に入力条件がOFFしても出力がOFFし続ける(ONを保持する)ラダープログラムです。

出力のa接点を入力条件に並列に接続することにより「出力は自身のa接点によってONが保持される」ことが自己保持回路の名前の由来です。

自己保持回路を用いることにより「スイッチを1回押すと、ランプが点灯し続ける」回路を作ることができます。他にも「出力をONし続ける」場合によく使用されます。

この記事では、キーエンスKVシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラム練習問題を3ヶ出題します。

注意
この記事のラダープログラムはKV STUDIO Ver.11で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。

キーエンスKVシリーズで作成する自己保持回路の解説とラダープログラム例については以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【キーエンスKV】 【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【キーエンスKV】

以下の記事でも自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しておりますので、宜しければご覧ください。

【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【キーエンスKV】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【キーエンスKV】

三菱電機FXシリーズ・オムロンCJシリーズの自己保持回路の練習問題は以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【三菱FX】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【三菱FX】 00_【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【オムロンCJ】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【オムロンCJ】
注意
解答のラダープログラムはあくまで一例です。別のプログラムでも動作が同じであれば問題ありません。

1.【1問目】ON条件が論理和(OR)の自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(R000)または(R001)を押すと、ランプ(R500)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(R002)を押すことでランプ(R500)は消灯する。
スイッチが同時に押された場合、スイッチ(R002)を優先してランプは消灯する。(点灯しない。)

『R000またはR001をON条件』『R002をOFF条件』とするR500の自己保持回路を作ります。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題①_タイムチャート

入力リレーR000またはR001がONすると出力リレーR500がONし続け、入力リレーR002がONするとR500はOFFします。

R000~R002が同時にONした場合、R002を優先してR500はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題①_タッチパネル

スイッチ(R000)または(R001)を押すとランプ(R500)が点灯し続け、スイッチ(R002)を押すとランプ(R500)は消灯します。

スイッチが同時に押された場合、スイッチ(R002)を優先してランプ(R500)は消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題①_ラダープログラム

R000とR001を並列に接続して、R500の自己保持回路のON条件とすることで「スイッチ(R000)または(R001)を押すとランプ(R500)が点灯する」動作になります。

R500の自己保持回路のOFF条件にR002を接続することで「スイッチ(R002)を押すとランプ(R500)が消灯する」動作になります。

メモ
並列に接続することを『論理和』『OR接続』と表現します。

2.【2問目】ON条件が論理積(AND)の自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(R000)かつ(R001)を押すと、ランプ(R500)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(R002)を押すことでランプ(R500)は消灯する。
スイッチが同時に押された場合、スイッチ(R002)を優先してランプは消灯する。(点灯しない。)

【1問目】では『R000またはR001をON条件』としていましたが、今回は『R000かつR001をON条件』としています。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題②_タイムチャート

入力リレーR000かつR001がONすると出力リレーR500がONし続け、入力リレーR002がONするとR500はOFFします。

R000~R002が同時にONした場合、R002を優先してR500はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題②_タッチパネル

スイッチ(R000)かつ(R001)を押すとランプ(R500)が点灯し続け、スイッチ(R002)を押すとランプ(R500)は消灯します。

スイッチが同時に押された場合、スイッチ(R002)を優先してランプ(R500)は消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題②_ラダープログラム

R000とR001を直列に接続して、R500の自己保持回路のON条件とすることで「スイッチ(R000)かつ(R001)を押すとランプ(R500)が点灯する」動作になります。

R500の自己保持回路のOFF条件にR002を接続することで「スイッチ(R002)を押すとランプ(R500)が消灯する」動作になります。(【1問目】と同じ)

メモ
直列に接続することを『論理積』『AND接続』と表現します。

3.【3問目】一連動作の自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(R000)を押すと、ランプ(R500)が点灯し続ける。
スイッチ(R001)を押すと、ランプ(R501)が点灯し続ける。
スイッチ(R002)を押すと、ランプ(R502)が点灯し続ける。
ランプ(R501)は、ランプ(R000)が点灯していなければ点灯できない。
ランプ(R502)は、ランプ(R500)と(R501)が点灯していなければ点灯できない。
スイッチ(R003)を押すと、全てのランプは消灯する。

ランプは(R500) → (R501) → (R502) の順でなければ点灯することができません。順番に沿わないスイッチが押されても無効になります。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題③_タイムチャート

出力リレーはR500 → R501 → R502の順でなければONできません。

例えば、R500がOFFしていれば入力リレーR000・R001がONしてもR501・R502はONしません。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題③_タッチパネル

スイッチ(R000) → スイッチ(R001) → スイッチ(R002)の順に押すと、ランプ(R500) → ランプ(R501) → ランプ(R502)の順で点灯します。

スイッチ(R503)を押すと、全てのランプは消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題③_ラダープログラム

各ランプが点灯できる条件は以下のようになります。

ランプONする条件OFFする条件
ランプ(R500)スイッチ(R000)を押すスイッチ(R003)を押す
ランプ(R501)スイッチ(R001)を押す かつ ランプ(R500)が点灯スイッチ(R003)を押す
ランプ(R502)スイッチ(R002)を押す かつ ランプ(R501)が点灯スイッチ(R003)を押す

まず「スイッチ(R000)が押されるとランプ(R500)が点灯し続け、スイッチ(R003)が押されるとランプ(R500)が消灯する」ラダープログラムを作成します。

次に「スイッチ(R001)が押されると、ランプ(R500)が点灯している間、ランプ(R501)が点灯し続ける」ラダープログラムを作成します。R501の自己保持回路の条件にR500の”a接点”を接続します。

スイッチ(R003)が押されるとR500がOFFするためR501も併せてOFFします。R501の自己保持回路の条件にR003のb接点は必要ありません。(入れても問題ありません。)

R502の自己保持回路もR501と同様に作成します。

スイッチ(R003)が押されると、R500がOFF → R501がOFF → R502がOFFと連鎖的にOFFします。

4. おわりに

キーエンスKVシリーズで作成する自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しました。

【3問目】はラダープログラムにおける一連動作を作る上で必要な考え方の一つです。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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