キーエンスKV-Xシリーズにおける「インクリメント(Inc)FUN」は、指定したデータに1を加算するファンクションです。
この記事では、キーエンスKV-X500/X300シリーズにおけるインクリメント(Inc)FUNの指令方法とラダープログラム、ST言語の例について解説します。
キーエンスKV-X500/X300シリーズでは、指定したデータに1を減算するデクリメント(Dec)ファンクションが用意されています。デクリメント(Dec)ファンクションについては以下のページで解説しております。
【キーエンスKV-X】デクリメント(Dec)FUNの指令方法とラダープログラム/ST例
目次
1. インクリメントFUNの指令方法
インクリメント(Inc)FUNはLD表現(ラダープログラム)とST表現(ST言語)で使用することができます。
Inc(InOut);インクリメント(Inc)FUNは↓の引数で構成されています。
| 引数 | タイプ | データ型 | 初期値 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| EN | IN | BOOL | – | イネーブル入力 |
| ENO | OUT | BOOL | – | イネーブル出力 |
| InOut | IN-OUT | – | – | インクリメント対象 |
LD表現
↓がLD表現で使用したラダープログラム例です。
このラダープログラムでは、InFlag(入力フラグ)がONするたび(FALSE→TRUE)、InOutData(インクリメント対象)が1ずつ加算されます。
InFlag(入力フラグ)をそのままインクリメント(Inc)FUNのイネーブル入力(EN)に使用せず、立ち上がり検出(R_TRIG)を使用しています。立ち上がり検出(R_TRIG)を使用することにより、InFlag(入力フラグ)の立ち上がり(FALSE→TRUE)を検出した時のみインクリメント(Inc)FUNを実行しています。
立ち上がり検出(R_TRIG)を使用せずにInFlag(入力フラグ)をそのまま使用すると、InFlag(入力フラグ)がONしている間、毎スキャンInOutData(インクリメント対象)が1ずつ加算されてしまいます。
立ち上がり検出(R_TRIG)ファンクションブロックについては以下のページで解説しております。
【キーエンスKV-X】立ち上がり検出(R_TRIG)FBの指令方法とラダープログラム/ST例
条件がONするたびに(FALSE→TRUE)、データをインクリメントさせる場合、前述のように「立ち上がり時のみイネーブル入力(EN)をON(TRUE)させる」または「インクリメント(Inc)FUNを微分指定する」方法があります。
微分指定する場合、命令の引数設定ダイアログで微分(E)にチェックを入れます。
ST表現
↓がST表現で使用したST言語例です。
//InFlagの立ち上がり検出
R_TRIG1(CLK := InFlag);
//InFlagの立ち上がりでInOutDataをｲﾝｸﾘﾒﾝﾄ
Inc(EN := R_TRIG1.Q, InOut := InOutData);このSTでは、InFlag(入力フラグ)がONするたび(FALSE→TRUE)、InOutData(インクリメント対象)が1ずつ加算されます。※前述のLD表現と同じ動作です。
2.【例題】スイッチを押すたびに変数をインクリメント
下記仕様のラダープログラム、STをインクリメント(Inc)FUNを用いて解説します。
Data00の1ずつ加算にインクリメント(Inc)FUNを使用します。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ緑を押すたびに変数Data00の値を1ずつ加算(インクリメント)します。※スイッチ緑を押している時間に関わらず、必ず1だけ加算されます。
使用する変数
使用する変数は以下になります。
| 変数 | データ型 | コメント |
|---|---|---|
| SwGreen | BOOL | スイッチ緑 |
| Data00 | UINT | データ00(InOut) |
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
立ち上がり検出(R_TRIG)を使用することにより、SwGreen(スイッチ緑)の立ち上がり(FALSE→TRUE)を検出した時のみインクリメント(Inc)FUNを実行しています。
インクリメント(Inc)FUNが実行されると、変数Data00が1ずつ加算されます。
ST言語
ST言語は以下のようになります。
//ｽｲｯﾁ緑の立ち上がり検出
R_TRIG1(CLK := SwGreen);
//ｽｲｯﾁ緑の立ち上がりでData00をｲﾝｸﾘﾒﾝﾄ
Inc(EN := R_TRIG1.Q, InOut := Data00);3. おわりに
キーエンスKV-X500/X300シリーズにおけるインクリメント(Inc)FUNについて解説しました。
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