【オムロンNJ/NX】ブロック設定(SetBlock)FUNの指令方法とラダープログラム/ST例

オムロンNJ/NXシリーズにおける「ブロック設定(SetBlock)FUN」は、転送元の値を転送先を先頭とする要素数分に一括転送するファンクションです。

ブロック設定(SetBlock)FUNを用いることにより、一回のFUNで「1ヶの値」を「他の連続した変数」にコピーすることができます。(1→n)

この記事では、オムロンNJ/NXシリーズにおけるブロック設定(SetBlock)FUNの指令方法とラダープログラム、ST言語の例について解説します。

注意

この記事中のプログラムはSysmac Studio Ver.1.62で作成しており、CPUはNJ501-1500に設定してあります。

1. ブロック設定FUNの指令方法

ブロック設定(SetBlock)FUNはLD表現(ラダープログラム)とST表現(ST言語)で使用することができます。

ST言語

SetBlock(In, AryOut, Size);

ブロック設定(SetBlock)FUNは↓の引数で構成されています。

引数	タイプ	データ型	初期値	コメント
EN	IN	BOOL	–	イネーブル入力
ENO	OUT	BOOL	–	イネーブル出力
In	IN	–	–	転送元
AryOut	IN-OUT	–	–	転送先の先頭
Size	IN	UINT	1	転送要素数
Out	OUT	BOOL	–	常にTRUE

LD表現

↓がLD表現で使用したラダープログラム例です。

メモ

ブロック設定(SetBlock)はFUN(ファンクション)のため、インスタンス名を指令する必要はありません。

このラダープログラムでは、InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)している間、InData(入力データ)の値をOutData[0]~[9](出力配列)に転送します。OutData[0]~[9]は要素数10です。

InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)中にInData(入力データ)の値が変化すると、OutData[0]~[9](出力配列)の値も追従して変化します。

InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)した瞬間のみInData(入力データ)の値をOutData[0]~[9](出力配列)に転送する場合、「InFlag(入力フラグ)を立ち上がり検出(R_TRIG)ファンクションブロック等で微分化する」または「ブロック設定(SetBlock)FUNに微分型(@)を指定する」方法があります。

立ち上がり検出(R_TRIG)ファンクションブロックについては以下のページで解説しております。

【オムロンNJ/NX】立ち上がり微分(R_TRIG)FBの指令方法とラダープログラム/ST例

微分型(@)を指定する場合、FUN(ファンクション)入力時、頭文字に@を付けます。

ST表現

↓がST表現で使用したST言語例です。

ST言語

IF InFlag THEN
	SetBlock(In := InData, AryOut := OutData[0], Size := UINT#10);
END_IF;

メモ

引数タイプがIN、IN-OUTの場合は、「:=」で引数に値を引き渡します。引数タイプが「OUT」の場合は、「=>」で引数の値を変数に格納します。

このSTでは、InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)している間、InData(入力データ)の値をOutData[0]~[9](出力配列)に転送します。※前述のLD表現と同じ動作です。

注意事項

InとAryOut[]のデータ型は同じにする必要があります。異なるとビルド時に異常になります。

2.【例題】配列指定変数の一部をブロック設定

下記仕様のラダープログラム、STをブロック設定(SetBlock)FUNを用いて解説します。

仕様

スイッチ緑を押すと、配列指定変数Ary00[0]の値をAry00[1]~[3]に転送する。
スイッチ黄を押すと、配列指定変数Ary00[1]~[3]の値をゼロクリアする。
スイッチ緑と黄を両方押した場合、後から押された処理を適用する。
配列指定変数はいずれも一次元配列、要素は[0]~[4]の要素数5とする。

ブロック設定(SetBlock)FUNの転送元にAry00[0]または定数「0」、転送先の先頭にAry00[1]、転送要素数に「3」を指定します。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

スイッチ緑を押すと、配列型変数Ary00[0]の値をAry00[1]~[3]に転送します。

スイッチ黄を押すと、配列型変数Ary00[1]~[3]の値をゼロクリア(0を格納)します。

スイッチ緑と黄を両方押した場合、後から押された処理が適用されます。

使用する変数

使用する変数は以下になります。

変数	データ型	コメント
R_TRIG1	R_TRIG	FBインスタンス
R_TRIG2	R_TRIG	FBインスタンス
SwGreen	BOOL	スイッチ緑
SwYellow	BOOL	スイッチ黄
Ary00	ARRAY[0..4] OF UINT	配列00

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

立ち上がり検出(R_TRIG)を使用することにより、各スイッチの立ち上がり(FALSE→TRUE)を検出した時のみブロック設定(SetBlock)FUNが実行されます。

転送元にAry00[0]、転送先の先頭にAry00[1]、転送要素数にUINT#3を指令することで、Ary00[0]の値をAry00[1]~[3]に転送します。(1行目のスイッチ緑押下)

転送元にUINT#0、転送先の先頭にAry00[1]、転送要素数にUINT#3を指令することで、定数「0」(1ワード符号なし整数型)をAry00[1]~[3]に転送します。(2行目のスイッチ黄押下)

ST言語

ST言語は以下のようになります。

ST言語

//ｽｲｯﾁの立ち上がり検出
R_TRIG1(CLK := SwGreen);
R_TRIG2(CLK := SwYellow);

//ｽｲｯﾁ緑の立ち上がりでAry00[0]をAry00[1]~[3]に転送
IF R_TRIG1.Q THEN
	SetBlock(In := Ary00[00], AryOut := Ary00[1], Size := UINT#3);
END_IF;

//ｽｲｯﾁ黄の立ち上がりで定数0をAry00[1]~[3]に転送
IF R_TRIG2.Q THEN
	SetBlock(In := UINT#0, AryOut := Ary00[1], Size := UINT#3);
END_IF;