【キーエンスKV-X】文字列検索(FIND)FUNの指令方法とラダープログラム/ST例

キーエンスKV-Xシリーズにおける「文字列検索(FIND)」は、文字列から、指定した文字列を検索するファンクションです。

文字列検索(FIND)を用いることにより「表示器や外部機器から入力された文字列」や「ラダープログラム内で格納した文字列」から検索する文字列の開始位置(何文字目か)を検索する回路を作ることができます。

この記事では、キーエンスKV-X500/X300シリーズにおける文字列検索(FIND)の指令方法とラダープログラム、ST言語の例について解説します。

注意

この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.12で作成しており、対応機種はKV-X500に設定してあります。

1. 文字列検索の指令方法

文字列検索(FIND)はLD表現(ラダープログラム)とST表現(ST言語)で使用することができます。

ST言語

Result := FIND(In1, In2);

文字列検索(FIND)は↓の引数で構成されています。

引数	タイプ	データ型	初期値	コメント
EN	IN	BOOL	–	イネーブル入力
ENO	OUT	BOOL	–	イネーブル出力
In1	IN	STRING[65534]	”	検索対象文字列
In2	IN	STRING[65534]	”	検索する文字列
Result	RETURN	UINT	–	一致箇所の先頭位置

LD表現

↓がLD表現で使用したラダープログラム例です。

メモ

文字列検索(FIND)はFUN(ファンクション)のため、インスタンス名を指令する必要はありません。

このラダープログラムでは、InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)している間、文字列ABCDEFから文字列CDの開始位置である「3」をOutDataに格納します。

メモ

文字列が見つからなかった場合、Resultには「0」が格納されます。

メモ

文字列の定数を指定する場合、文字列を'(シングルクオーテーション)で囲います。

InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)中に検索対象文字列(上記だとABCDEF)や検索する文字列(上記だとCD)が変化すると、OutData(出力データ)の結果も追従して変化します。

InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)した瞬間のみ文字列を検索する場合、「InFlag(入力フラグ)を立ち上がり検出(R_TRIG)ファンクションブロック等で微分化する」または「文字列検索(FIND)FUNを微分指定する」方法があります。

立ち上がり検出(R_TRIG)ファンクションブロックについては以下のページで解説しております。

【キーエンスKV-X】立ち上がり検出(R_TRIG)FBの指令方法とラダープログラム/ST例

微分指定する場合、命令の引数設定ダイアログで微分(E)にチェックを入れます。

ST表現

↓がST表現で使用したST言語例です。

ST言語

IF InFlag THEN
	OutData := FIND(In1 := 'ABCDEF', In2 := 'CD');
END_IF;

メモ

引数タイプがIN、IN-OUTの場合は、「:=」で引数に値を引き渡します。引数タイプが「OUT」の場合は、「=>」で引数の値を変数に格納します。

このSTでは、InFlag(入力フラグ)がON(TRUE)している間、文字列ABCDEFから文字列CDの開始位置である「3」をOutDataに格納します。※前述のLD表現と同じ動作です。

2.【例題】変数から文字列を検索する

下記仕様のラダープログラム、STを文字列検索(FIND)を用いて解説します。

仕様

スイッチ緑を押すと、Str00に格納されている文字列から文字列Aの開始位置をData00に格納する。
スイッチ黄を押すと、Str00に格納されている文字列から文字列Bの開始位置をData00に格納する。
スイッチ赤を押すと、Data00に定数0を格納する。

Str00に格納されている文字列から文字列AまたはBを検索する処理に文字列検索(FIND)を使用します。

Data00に定数を格納する処理を行うため、転送(MOVE)を使用します。キーエンスKV-X500/X300シリーズの転送(MOVE)ファンクションについては以下のページで解説しております。

【キーエンスKV-X】転送(MOVE)FUNの指令方法とラダープログラム/ST例

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

スイッチ緑を押すと、Str00に格納されている文字列から文字列Aの開始位置をData00に格納します。

スイッチ黄を押すと、Str00に格納されている文字列から文字列Bの開始位置をData00に格納します。

スイッチ赤を押すと、Data00に定数0を格納します。

使用する変数

使用する変数は以下になります。

変数	データ型	コメント
SwGreen	BOOL	スイッチ緑
SwYellow	BOOL	スイッチ黄
SwRed	BOOL	スイッチ赤
Data00	UINT	データ00(検索結果の位置)
Str00	STRING[30]	文字列00(検索対象文字列)

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

イネーブル入力にSwGreen(スイッチ緑)、検索対象文字列にStr00、検索する文字列に’A’、一致箇所の先頭位置にData00を指令することで、Str00に格納されている文字列から文字列Aの開始位置をData00に格納します。(1行目)

イネーブル入力にSwYellow(スイッチ黄)、検索対象文字列にStr00、検索する文字列に’B’、一致箇所の先頭位置にData00を指令することで、Str00に格納されている文字列から文字列Bの開始位置をData00に格納します。(2行目)

イネーブル入力にSwRed(スイッチ赤)、転送元にUINT#0、転送先にData00を指令することで、定数0をData00に格納します。(3行目)

ST言語

ST言語は下記のようになります。

ST言語

//ｽｲｯﾁ緑押下でStr00から文字列Aの開始位置をData00に格納
IF SwGreen THEN
	Data00 := FIND(In1 := Str00, In2 := 'A');
END_IF;

//ｽｲｯﾁ黄押下でStr00から文字列Bの開始位置をData00に格納
IF SwYellow THEN
	Data00 := FIND(In1 := Str00, In2 := 'B');
END_IF;

//ｽｲｯﾁ赤押下でData00に定数0を格納
IF SwRed THEN
	Data00 := UINT#0;
END_IF;