キーエンスKVシリーズにおける「文字列部分置換」命令とは、文字列の一部を指定した文字列に置換するラダープログラム命令です。
文字列部分置換命令を用いることにより「表示器や外部機器から入力された文字列」や「ラダープログラム内で格納した文字列」の一部を指定した文字列に置換する回路を作ることができます。
この記事では、キーエンスKVシリーズにおける文字列部分置換命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。
目次
1. 文字列部分置換命令の指令方法
文字列部分置換命令には2種類の命令方法があります。
SRPLC | :毎スキャン実行型 |
@SRPLC | :微分実行型(パルス実行型) |
SRPLC:毎スキャン実行型の文字列部分置換命令
毎スキャン実行型の文字列部分置換命令は”SRPLC”と指令します。
↓が毎スキャン実行型の文字列部分置換(SRPLC)命令です。
↓命令部分を拡大
このラダープログラムでは、実行条件である入力リレーR000がONしている間、データメモリDM0に文字列”ABCDEF”の文字列”D”(開始位置「3」、文字数「1」)を文字列”XYZ”に置換した文字列”ABCXYZEF”を格納します。
定数で文字列が指定された場合、半角文字はASCIIコード(1バイト)、全角文字は「プロジェクト言語設定」で指定した言語またはシフトJISコード(2バイト)になります。
ASCII(American Standard Code for Information Interchange)コードとは、数値・アルファベット・記号などを7ビットで表現した文字コードの一つです。7ビットは「10進数では0~127」「16進数では0x00~0x7F」の128ヶで表されます。ASCIIコード一覧表は以下のページで解説しております。
【情報基礎】ASCII(アスキー)コード 一覧表@SRPLC:微分実行型(パルス実行型)の文字列部分置換命令
命令の頭文字に@を付けることで、実行条件がOFF→ONになったときの1スキャンしか実行されない微分実行型(パルス実行型)となります。
↓が微分実行型(パルス実行型)の文字列部分置換(@SRPLC)命令です。
↓命令部分を拡大
微分実行型(パルス実行型)の場合、命令文の左側に上向きの矢印が表示されます。
このラダープログラムは、実行条件である入力リレーR000がOFF→ONになった瞬間に、データメモリDM0に文字列”ABCDEF”の文字列”D”(開始位置「3」、文字数「1」)を文字列”XYZ”に置換した文字列”ABCXYZEF”を格納します。
このように、微分実行型(パルス実行型)の場合は実行条件がOFF→ONになった瞬間の1スキャンしか命令が実行されません。
KV STUDIOにおける命令挿入の方法
文字列部分置換命令をKV STUDIOの回路上に挿入するには「命令文 置換対象の文字列 置換する文字列 置換後の文字列 置換開始位置(バイト数) 置換する文字数(バイト数)」と回路上で入力します。
例) 先ほどの毎スキャン実行型の文字列部分置換(SRPLC)命令を挿入する場合、KV STUDIOの回路上でSRPLC “ABCDEF” “XYZ” DM0 #3 #1と入力してEnterキーを押します。
2.【例題①】定数の文字列部分置換
下記仕様のラダープログラムを文字列部分置換命令を用いて解説します。
スイッチ(R001)を押すと、文字列ABCDEFから文字列EFを文字列9に置換した結果をデータメモリDM0~に格納する。
スイッチ(R002)を押すと、データメモリDM0~19(20点)に定数”0”を格納する。(クリアする)
「スイッチ(R000)、スイッチ(R001)を押したときの文字列の置換」は文字列部分置換命令を使用します。
「スイッチ(R002)を押したときのDM0~19に定数”0”を転送」は一括転送命令を使用します。一括転送(FMOV)命令については以下のページで解説しております。
【キーエンスKV】一括転送(FMOV)命令の指令方法とラダープログラム例タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(R000)を押すと、文字列ABCDEFから文字列Fを文字列123に置換した結果をデータメモリDM0~に格納します。
スイッチ(R001)を押すと、文字列ABCDEFから文字列EFを文字列9に置換した結果をデータメモリDM0~に格納します。
スイッチ(R002)を押すと、データメモリDM0~DM19に定数”0”を格納します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
スイッチ(R000)を押すと、文字列部分置換(SRPLC)命令によりデータメモリDM0~に文字列”ABCDEF”から文字列”F”(開始位置「5」、文字数「1」)を文字列”123”に置換した文字列”ABCDE123”を格納します。
スイッチ(R001)を押すと、文字列部分置換(SRPLC)命令によりデータメモリDM0~に文字列”ABCDEF”から文字列”EF”(開始位置「4」、文字数「2」)を文字列”9”に置換した文字列”ABCD9”を格納します。
スイッチ(R002)を押すと、一括転送(FMOV)命令によりデータメモリDM0~DM19に定数”0”を転送します。
3.【例題②】DMに格納された文字列部分置換
下記仕様のラダープログラムを文字列部分置換命令を用いて解説します。
スイッチ(R001)を押すと、データメモリDM10~に文字列XYZを格納する。
スイッチ(R002)を押すと、文字列DM0~から文字列BCを文字列DM10~に置換した結果をデータメモリDM20~に格納する。
スイッチ(R003)を押すと、データメモリDM0~29(30点)に定数”0”を格納する。(クリアする)
「スイッチ(R000)、スイッチ(R001)を押したときの文字列の格納」は文字列転送命令を使用します。文字列転送(SMOV)命令については以下のページで解説しております。
【キーエンスKV】文字列転送(SMOV)命令の指令方法とラダープログラム例「スイッチ(R002)を押したときの文字列の置換」は文字列部分置換命令を使用します。
「スイッチ(R003)を押したときのDM0~29に定数”0”を転送」は一括転送命令を使用します。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(R000)を押すと、データメモリDM0~に文字列ABCDEFを格納します。スイッチ(R001)を押すと、データメモリDM10~に文字列XYZを格納します。
スイッチ(R002)を押すと、文字列DM0~から文字列BCを文字列DM10~に置換した結果をデータメモリDM20~に格納します。
スイッチ(R003)を押すと、データメモリDM0~DM29(30点)に定数”0”を格納します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
スイッチ(R000)を押すと、文字列転送(SMOV)命令によりデータメモリDM0を先頭に文字列”ABCDEF”を格納します。スイッチ(R001)を押すと、同様にデータメモリDM0を先頭に文字列”XYZ”を格納します。
スイッチ(R002)を押すと、文字列部分置換(SRPLC)命令によりデータメモリDM0~から文字列”BC”(開始位置「1」、文字数「2」)を文字列DM10~に置換した結果をDM20~に格納します。
スイッチ(R003)を押すと、一括転送(FMOV)命令によりデータメモリDM0~DM29(30点)に定数”0”を一括で転送します。
4. おわりに
キーエンスKVシリーズにおける文字列部分置換(SRPLC)命令について解説しました。
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