三菱電機製シーケンサFXシリーズにおける積算タイマとは、入力条件がOFFしてもタイマの現在値が”0”に戻らないタイマです。
この入力条件をOFFしてもタイマの現在値が”0”にならない性質を利用して、スイッチやランプ等がONしている時間を累積でカウントすることができます。
この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する積算タイマを用いたラダープログラム例を2ヶ解説します。
目次
1.【例題①】積算タイマ(リセット釦あり)
下記仕様の積算タイマのラダープログラムを解説します。今回はPCタイプがFX3GのPLC(シーケンサ)を使用します。
スイッチを5秒に満たない状態で離しても、タイマの現在値は累積される。
その後、スイッチ(X1)を押すとランプ(Y0)は消灯してタイマの現在値はリセットされる。
タイマの現在値は、入力条件であるスイッチ(X0)がOFFしても累積するため、積算タイマを使用します。
FX3Gシーケンサの場合、使用できるタイマの番号は以下のようになります。
T0~T199 | :100ms形 |
T200~T245 | :10ms形 |
T246~T249 | :1ms積算形 |
T250~T255 | :100ms積算形 |
T256~T319 | :1ms形 |
積算タイマは『1ms積算形』と『100ms積算形』がありますが、今回は『100ms積算形』を使用します。
三菱FXシリーズの場合、使用できる積算タイマのデバイス番号はPCタイプによって大きく相違があります。詳細は以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【三菱FXシリーズ】タイマ(T)の機能と動作例タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
入力リレーX0が5秒間ONすると、出力リレーY0がONします。その後に入力リレーX1をONすることで出力リレーY0はOFFします。
入力リレーX0のONしている時間が5秒に満たない状態でOFFしても、累積で5秒間ONすると出力リレーY0はONします。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
ここでは「GOTはラダープログラムで使用されているデバイスのON/OFF状態や現在値をモニタしたり、変更することができるもの」程度の認識でOKです。
※使用していないデバイスがありますがご了承ください。
スイッチ(X0)を押すと、5秒後にランプ(Y0)が点灯します。スイッチを5秒に満たない状態で離したとしても、タイマの値は累積されます。
その後、ランプ(Y0)はスイッチ(X1)を押すことで消灯します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
入力リレーX0を入力条件とする、タイマT250を用意します。
PCタイプがFX3Gの場合、T250は『100ms積算形』タイマのため、設定値をK50と指定することでタイマの設定値は5秒となります。(50 × 100ms = 5000ms(5秒))
積算タイマの場合、入力条件がOFFしてもタイマの現在値は”0″に戻らずに保持します。
積算タイマの現在値を”0”に戻す場合、リセット(RST)命令を使用します。積算タイマの現在値がすでに設定値に到達している場合はa接点をOFFします。
2.【例題②】積算タイマ(自己リセット)
下記仕様の積算タイマのラダープログラムを解説します。今回も【例題①】同様にFX3GのPLC(シーケンサ)を使用します。
スイッチを5秒に満たない状態で離しても、タイマの現在値は累積される。
その後「ランプ(Y0)が点灯している状態でスイッチ(X0)を離すと」ランプ(Y0)は消灯してタイマの現在値はリセットされる。
【例題①】では積算タイマの値をリセットするためにスイッチ(X1)を用意しましたが、今回はスイッチ(X0)を離すことでリセットをします。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
入力リレーX0が5秒間ONすると、出力リレーY0がONします。※ここは【例題①】と同じ。
その後「出力リレーY0がONしている状態で入力リレーX0をOFFすると」出力リレーY0はOFFしてタイマの値はリセットします。
出力リレーY0がOFFしている状態で、入力リレーX0をOFFしてもタイマの値はリセットされません。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)を押すと、5秒後にランプ(Y0)が点灯します。スイッチを5秒に満たない状態で離したとしても、タイマの値は累積されます。
その後「ランプ(Y0)が点灯している状態でスイッチ(X0)を離すと」ランプ(Y0)は消灯してタイマの現在値はリセットされます。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
【例題①】に対して、リセット(RST)命令の条件が異なります。(3行目)
リセット命令の条件は「Y0のa接点」と「X0のb接点」の直列にすることで、ランプ(Y0)が点灯している状態でスイッチ(X0)を離した場合にタイマT250がリセットされます。
3. おわりに
三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する積算タイマのラダープログラム例を解説しました。
デバイスがONしている時間を累積でカウントする場合、この記事で解説した積算タイマを用いる手法の他に、カウンタやデータレジスタを用いた色々な手法があります。
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