【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【オムロンCJ】

【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【オムロンCJ】

自己保持回路とは、入力条件がONすると出力がONして、その後に入力条件がOFFしても出力がOFFし続ける(ONを保持する)ラダープログラムです。

出力のa接点を入力条件に並列に接続することにより「出力は自身のa接点によってONが保持される」ことが自己保持回路の名前の由来です。

自己保持回路を用いることにより「スイッチを1回押すと、ランプが点灯し続ける」回路を作ることができます。他にも「出力をONし続ける」場合によく使用されます。

この記事では、オムロンCJシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラム練習問題を3ヶ出題します。

注意
この記事のラダープログラムはCX-Programmer Ver. 9.63で作成しており、PLC機種はCJ2Mに設定してあります。

オムロンCJシリーズで作成する自己保持回路の解説とラダープログラム例については以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【オムロンCJ】 【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【オムロンCJ】

以下の記事でも自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しておりますので、宜しければご覧ください。

00_【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【オムロンCJ】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【オムロンCJ】

三菱電機FXシリーズ・キーエンスKVシリーズの自己保持回路の練習問題は以下のページで解説しております。

【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【三菱FX】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【三菱FX】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【キーエンスKV】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【キーエンスKV】
注意
解答のラダープログラムはあくまで一例です。別のプログラムでも動作が同じであれば問題ありません。

1.【1問目】OFF条件を優先する自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(0.00)を押すと、ランプ(1.00)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(0.01)を押すと、ランプ(1.00)は消灯する。
スイッチ(0.00)と(0.01)が双方押された場合は、スイッチ(0.01)を優先してランプは消灯する。(点灯しない。)

『0.00をON条件』『0.01をOFF条件』とする1.00の自己保持回路を作ります。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題①_タイムチャート

0.00がONすると1.00がONし続け、0.01がONすると1.00はOFFします。

0.00と0.01が双方押された場合、0.01を優先して1.00はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題①_タッチパネル

スイッチ(0.00)を押すとランプ(1.00)が点灯し続け、スイッチ(0.01)を押すとランプ(1.00)は消灯します。

スイッチ(0.00)と(0.01)が双方押された場合、スイッチ(0.01)を優先してランプ(1.00)は消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題①_ラダープログラム

0.00のa接点と1.00のa接点を並列にして1.00のコイルをONさせます。スイッチ(0.00)が押されることで1.00はONして、そのまま1.00は自身のa接点によりONを保持します。1.00がONするとランプ(1.00)が点灯します。

0.01のb接点を直列に接続することで、スイッチ(0.01)が押されると1.00の自己保持がOFFしてランプ(1.00)が消灯します。

2.【2問目】ON条件を優先する自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(0.00)を押すと、ランプ(1.00)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(0.01)を押すと、ランプ(1.00)は消灯する。
スイッチ(0.00)と(0.01)が双方押された場合は、スイッチ(0.00)を優先してランプは点灯する。(消灯しない。)

【1問目】では「OFF条件を優先」していましたが、今回は「ON条件を優先」します。【1問目】に対してラダープログラムの形を少し変更することで作成できます。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題②_タイムチャート

0.00がONすると1.00がONし続け、0.01がONすると1.00はOFFします。

0.00と0.01が双方押された場合、0.00を優先して1.00はONします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題②_タッチパネル

スイッチ(0.00)を押すとランプ(1.00)が点灯し続け、スイッチ(0.01)を押すとランプ(1.00)は消灯します。

スイッチ(0.00)と(0.01)が双方押された場合、スイッチ(0.00)を優先してランプ(1.00)は点灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題②_ラダープログラム

【1問目】に対して、0.01のb接点の場所を変更しています。

このラダープログラムの場合、スイッチ(0.00)と(0.01)が同時に押された場合、0.00のa接点を遮るものが無いため1.00はONしてランプ(1.00)は点灯します。

問題②_ラダープログラム解説

3.【3問目】順序がある自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(0.00)→スイッチ(0.01)の順に押すと、ランプ(1.00)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(0.01)→スイッチ(0.00)の順ではランプ(1.00)は点灯しない。
スイッチ(0.02)を押すと、ランプ(1.00)は消灯する。

「スイッチ(0.00)が押された」ことを記憶するリレーを用意して、そのリレーがONしているときにスイッチ(0.01)を押すとランプ(1.00)が点灯するラダープログラムを作成します。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題③_タイムチャート

0.00 → 0.01の順にONすると、1.00がONし続けます。逆の順では1.00はONしません。

0.02がONすると、1.00はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題③_タッチパネル

スイッチ(0.00)→スイッチ(0.01)の順に押すと、ランプ(1.00)が点灯し続けます。逆の順ではランプ(1.00)は点灯しません。

スイッチ(0.02)を押すと、ランプ(1.00)は消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題③_ラダープログラム

0.00をON条件とするW0.00の自己保持回路を作ります。W0.00はオムロンCJシリーズにおける内部補助リレーで、プログラム上でのみ使用できるリレーです。

W0.00は、スイッチ(0.00)が押されてからスイッチ(0.02)が押されるまでONし続けます。

0.01がON条件とする1.00の自己保持回路を作ります。この自己保持回路の条件に「W0.00のa接点」を用いることでスイッチ(0.01)が押されたとき、W0.00がONしていなければランプ(1.00)は点灯しないものになります。

W0.00の自己保持回路の条件に0.02のb接点を入れることで、スイッチ(0.02)が押されるとW0.00がOFFして、さらに1.00もOFFします。

4. おわりに

オムロンCJシリーズで作成する自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しました。

【1問目】はアクチュエータ等の動作するものを「起動スイッチ・停止スイッチで制御する場合」、逆に【2問目】はアラーム(異常)発生を「発生条件・リセットスイッチで制御する場合」に使用されることが多いイメージです。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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