【三菱Qシリーズ】ティーチングタイマ(TTMR)命令の指令方法とラダープログラム例

00_【三菱Qシリーズ】ティーチングタイマ(TTMR)命令の指令方法とラダープログラム例

三菱電機製シーケンサQシリーズにおける「ティーチングタイマ」命令とは、デバイスがONした時間を測定し、その時間をワードデバイスに格納するラダープログラム命令です。

ティーチングタイマ命令を用いることにより「センサがワークを検出した時間」「スイッチが押された時間」をデータレジスタやファイルレジスタといったワードデバイスに格納することができます。

この記事では、三菱電機製シーケンサQシリーズにおけるティーチングタイマ命令の指令方法ラダープログラム例について解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはGX Works2で作成しており、PCタイプはQ03UDEに設定してあります。

三菱電機製シーケンサQシリーズにおいて、ティーチングタイマ命令は以下のCPUで使用することが可能です。

High performance:ハイパフォーマンスモデルQCPU
Process:プロセスCPU
Universal:ユニバーサルモデルQCPU
LCPU:LCPU

※MELSEC-Lシリーズも含まれていますがご了承ください。

注意
「Basic:ベーシックモデルQCPU」「Redundant:二重化CPU」では使用できませんのでご注意ください。

1. ティーチングタイマ命令の指令方法

ティーチングタイマ命令には、1種類の指令方法があります。

TTMR:ティーチングタイマ命令

TTMRは、ティーチングタイマ(Teaching timer)の略です。

メモ
ティーチングタイマ命令にパルス実行形はありません。

こちらがTTMR命令を使用したラダープログラム例です。

10_TTMR命令

このラダープログラムは、X0がONした時間を”秒単位”でデータレジスタD0に格納します。その後、X0がOFFしてもD0は”0”にリセットされず値が保持されます。

10_命令イメージ1

↑のラダープログラムはX0を約7秒間ONした後、少し間を空けて約4秒間ONしています。

データレジスタD0は、実行条件であるX0がOFF→ONになったとき”0”にリセットされます。


TTMR命令には「測定した時間を格納するデバイス」の他に「測定した時間の乗数」を指定する必要があります。↑のラダープログラムの場合「測定した時間の乗数」はK0を指定しており乗数は”1”となります。

TTMR命令の「測定した時間の乗数」は以下のように0~2を指定します。

TTMR命令内の指定値乗数
01
110
2100

TTMR命令内で指定する値が0~2の場合、各々のデータレジスタは以下のようになります。

10_命令イメージ2

K2と指令した場合、1の位には必ず”0”が入ります。

注意
TTMR命令内で指定した「測定した時間を格納するデバイス」の1ヶ上位のデバイスはCPUユニットのシステムとして使用されます。(↑のラダープログラムであればD1・D11・D21)


先ほどのラダープログラムはGX Works2の回路上で TTMR D0 K0 と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。 (小文字でもOKです。)

10_命令挿入

2.【例題①】スイッチが押された時間を測定(1秒単位)

下記仕様のラダープログラムをティーチングタイマ命令を用いて解説します。

仕様
スイッチ(X0)が押された時間を”1秒単位”でデータレジスタD0に格納する。

ティーチングタイマ命令を用いることで、タイマ(T)や転送命令を使用せずに押された時間をデータレジスタに格納することができます。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

例題①_GOT

スイッチ(X0)が押された時間を”1秒単位”でデータレジスタD0に格納します。

データレジスタD1にはCPUユニットの内部演算用として値が格納されます。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

入力条件をX0とするTTMR命令を用いることで、スイッチ(X0)が押された時間を測定します。

TTMR命令で「測定した時間を格納するデバイスにD0」「測定した時間の乗数にK0」を指定することでD0に”1秒単位”の時間が格納されます。

3.【例題②】スイッチが押された時間を測定(0.1秒単位)

下記仕様のラダープログラムをティーチングタイマ命令を用いて解説します。

仕様
スイッチ(X0)が押された時間を”0.1秒単位”でデータレジスタD0に格納する。

TTMR命令における「測定した時間の乗数」に”1”を指定することで0.1秒の測定時間を格納します。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

例題②_GOT

スイッチ(X0)が押された時間を”0.1秒単位”でデータレジスタD0に格納します。

0.1秒単位の測定の場合、D1には内部演算用の値は格納されませんでした。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

TTMR命令で「測定した時間の乗数にK1」を指定することでD0に”0.1秒単位”の時間が格納されます。

4. おわりに

三菱電機製シーケンサQシリーズにおけるティーチングタイマ命令について解説しました。

今回解説に使用したラダープログラムは、ティーチングタイマ命令を使用しなくてもタイマ(T)と転送(MOV)命令を使用することで作成することができます。(どこかで記事にします。)

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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