オムロンCJシリーズにおける「可逆カウンタ」命令とは、カウンタの現在値を加減算するラダープログラム命令です。
カウンタは「スイッチを押した回数」や「センサがワークを検出した回数」といったデバイスがONした回数を数える用途で広く使用されます。
可逆カウンタを用いることにより、デバイスがONした回数を加減算(カウントアップ・カウントダウン)の双方向に制御することができます。
この記事では、オムロンCJシリーズにおける可逆カウント命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。
オムロンCJシリーズにおける、カウンタを減算(カウントダウン)するのみのカウント命令は以下のページで解説しております。
【オムロンCJ】カウンタ(CNT・CNTX)命令の指令方法とラダープログラム例
目次
1. 可逆カウンタ命令の指令方法
可逆カウンタ命令には、2種類の指令方法があります。
| 命令文 | 内容 |
|---|---|
| CNTR | BCDの可逆カウンタ命令 |
| CNTRX | BINの可逆カウンタ命令 |
CNTR(BCD)命令の場合、設定値に#0000～9999を指定することができます。(0～9999回)
CNTRX(BIN)命令の場合、設定値に10進&0～65535、または16進#0000～FFFFを指定することができます。(0～65535回)
CNTR：BCDの可逆カウンタ命令
可逆カウンタ命令は”CNTR”と指令します。
こちらがCNTR命令を使用したラダープログラム例です。
可逆カウント命令の入力条件は、加算カウント入力、減算カウント入力、リセット入力の3ヶを指定する必要があります。
このラダープログラムは、加算カウント入力である0.00がONするとカウンタC0の現在値が+1して、減算カウント入力である0.01がONするとカウンタC0の現在値が-1します。
リセット入力である0.02がONすると、カウンタC0の現在値は”0”にリセットされます。
同時に、カウンタがONしている場合はOFFになります。
可逆カウンタ命令を用いた場合、カウンタは現在値が「桁上げ時」または「桁下り時」にONします。
↑のラダープログラムの場合、現在値が「”3”の状態で0.00がONした場合」と「”0”の状態で0.01がONした場合」にカウンタC0がONします。
先ほどのラダープログラムはCX-Programmerの回路上で CNTR 0 #3 と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。 ※スマートインプットモードの場合
減算カウント入力、リセット入力を挿入する必要があります。(↑では省略しています。)
CNTXR：BINの可逆カウンタ命令
BINの可逆カウンタ命令は”CNTRX”と指令します。
こちらがCNTRX命令を使用したラダープログラム例です。
このラダープログラムは、加算カウント入力である0.00がONするとカウンタC0の現在値が+1して、減算カウント入力である0.01がONするとカウンタC0の現在値が-1します。
カウンタの設定値は”10”と指定してあるため、カウンタの現在値が「”10”の状態で0.00がONした場合」と「”0”の状態で0.01がONした場合」にカウンタC0がONします。
カウンタの設定値に&3を指定すると先ほどのCNTR命令で解説したラダープログラムと同じ動作になります。
CNTX命令の設定値で、頭文字に「&」を付けると10進数の0～65535を指定することができます。
このラダープログラムは、カウンタの設定は”16”と指定してあります。CNTRX命令の設定値で、頭文字に「#」を付けると設定値は16進数となり、今回の設定値である#10(16進数)は10進数に変換すると”16”になります。
CNTRX命令の設定値で、頭文字に「#」を付けると16進数の0000～FFFFを指定することができます。
↓がCNTRX命令で設定値を&10（10進数）にしたラダープログラム動作です。
↓がCNTRX命令で設定値を#10（16進数）にしたラダープログラム動作です。
※カウンタの現在値は10進数表示にしてあります。
2.【例題】スイッチが3回押されるたびにランプ点灯
下記仕様のラダープログラムを可逆カウンタ命令を用いて解説します。
スイッチ(0.00)が3回押されるたびに、ランプ(1.00)が点灯する。
スイッチ(0.02)を押すと、カウンタC0の現在値を”0”にリセットしてランプ(1.00)を消灯させる。
※カウンタC0はリングカウンタとして扱う。
ラダープログラムにおけるリングカウンタとは、現在値が設定値に到達した状態でカウントアップすると初期値に帰還するカウンタを指します。今回は0→1→2→0→1→…と循環させます。
可逆カウンタ命令を用いることで、カウンタは自動的にリングカウンタとして扱われます。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
0.00がONするとカウンタC0が+1され、カウンタC0の現在値が”2”の状態で+1されると1.00がONします。
0.02がONするとカウンタC0の現在値は”0”にリセットされます。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(0.00)を3回押すと、カウンタC0の現在値が+1して、3回押されるたびにランプ(1.00)が点灯します。
スイッチ(0.02)を押すと、カウンタC0の現在値を”0”にリセットしてランプ(1.00)を消灯させます。
カウンタC0の現在値は0→1→2→0→1→…と循環するリングカウンタとなります。カウンタC0の現在値はタッチパネル右上に表示します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
可逆カウンタ(CNTRX)命令の加算カウント入力に0.00のa接点を用いることで、スイッチ(0.00)が押されるたびにカウンタC0を+1します。
今回はカウンタを減算する必要が無いため、減算カウント入力には常時OFFするP_Offを使用します。
可逆カウンタ(CNTRX)命令の設定値に&2を指定することで、カウンタC0が”2”の状態で0.00がONすると、カウンタC0は桁上がりして”0”に戻ります。桁上がりしたタイミングでカウンタC0はONします。
リセット入力に0.02のa接点を用いることで、スイッチ(0.02)が押されるとカウンタC0が”0”にリセットされます。この時、カウンタC0がONしていればOFFになります。
3. おわりに
オムロンCJシリーズにおける可逆カウンタ命令について解説しました。
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