三菱電機製シーケンサiQ-Fシリーズにおける「BIN→BCDデータ変換」命令とは、指定したBIN(2進数)データをBCD(二進化十進数)に変換するラダープログラム命令です。
二進化十進数(Binary Coded Decimal)とは、10進数の各桁を2進数4桁で表現する方法です。例えば10進数の「1234」は、BCDでは「0001 0010 0011 0100」と表現されます。
三菱電機製シーケンサiQ-FシリーズのCPUユニットの演算はBIN(2進数)データで扱われますが、BCDデコーダ付きの7セグメント表示器に数値を表示するとき等に使用します。
この記事では、三菱電機製シーケンサiQ-FシリーズにおけるBIN→BCDデータ変換命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。
三菱電機製シーケンサiQ-Fシリーズにおいて、BIN→BCDデータ変換命令は以下のCPUで使用することが可能です。
| FX5UJ | ：使用可 |
| FX5U | ：使用可 |
| FX5UC | ：使用可 |
三菱電機製シーケンサiQ-Fシリーズでは、逆にBCD(二進化十進数)データをBIN(2進数)に変換するBCD→BINデータ変換(BIN)命令が用意されています。BCD→BINデータ変換(BIN)命令については以下のページで解説しております。
【三菱iQ-Fシリーズ】BCD→BINデータ変換(BIN)命令の指令方法とラダープログラム例
目次
1. BIN→BCDデータ変換命令の指令方法
BIN→BCDデータ変換命令には、4種類の指令方法があります。
| BCD | ：符号付き16ビット連続実行形 |
| BCDP | ：符号付き16ビットパルス実行形 |
| DBCD | ：符号付き32ビット連続実行形 |
| DBCDP | ：符号付き32ビットパルス実行形 |
パルス実行形は、入力条件がONしたときの1スキャンのみ実行される命令です。
各データ型の表現範囲は以下のようになります。※他の命令と範囲が異なります。
| 符号付き16ビット形 | ：0～+9999 |
| 符号付き32ビット形 | ：0～+99999999 |
BCD：16ビット連続実行形（基本の形）
符号付き16ビット連続実行形のBIN→BCDデータ変換命令は BCD と指令します。
こちらがBCD命令を使用したラダープログラム例です。
このラダープログラムでは、入力条件であるX0がONしている間、BIN(2進数)データのD0のデバイス値をBCD(二進化十進数)に変換してD10に格納します。
例えば、D0の値が2進数で「1234」の場合、D10の各ビットは以下のようになります。
BCDは10進数の各桁を2進数4桁で表現されるため、D10の0～3ビット目→「4」、4～7ビット目→「3」、8～11ビット目→「2」、12～15ビット目→「1」が格納されます。
BCD命令は連続実行形であるため、X0がON中にD0の値が変わるとD10の値も追従して変わります。
先ほどのラダープログラムはGX Works3の回路上で BCD D0 D10 と入力してEnterキーを押すと挿入されます。(小文字でもOKです。)
BCDP：16ビットパルス実行形
符号付き16ビットパルス実行形のBIN→BCDデータ変換命令は BCDP と指令します。
こちらがBCDP命令を使用したラダープログラム例です。
連続実行形(BCD命令)との違いは、入力条件である入力リレーX0がON中にD0の値が変わってもD10の値は追従して変化しないことです。
X0がONした瞬間、BIN(2進数)データのD0のデバイス値をBCD(二進化十進数)に変換してD10に格納します。
DBCD・DBCDP：32ビット実行形
符号付き32ビット連続実行形のBIN→BCDデータ変換命令は DBCD と指令します。
符号付き32ビットパルス実行形のBIN→BCDデータ変換命令は DBCDP と指令します。
こちらがDBCD・DBCDP命令のラダープログラム例です。
32ビット実行形の場合、指定したデバイスを若番とする2ワード(32ビット)長として扱われます。↑のラダープログラムの場合、BIN(2進数)データのD0・D1のデバイス値をBCD(二進化十進数)に変換してD10・D11に格納します。
2.【例題①】7セグメントLEDを表示する(2桁)
下記仕様のラダープログラムをBIN→BCDデータ変換命令を用いて解説します。
7セグメントLEDは2桁として、1桁目をY20～Y23、2桁目をY24～Y27に接続されているものとする。
※本記事ではタッチパネルで代用します。
BINデータのD0のデバイス値をBCD変換してY20～Y27に格納する処置にBIN→BCDデータ変換(BCD)命令を使用します。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
BIN(2進数)データのD0のデバイス値を常にBCD形式の7セグメントLEDに表示します。
7セグメントLEDは2桁として、1桁目をY20～Y23、2桁目をY24～Y27に接続されているものとします。
7セグメントLEDは2桁で使用するため、D0のデバイス値は0～99となります。(今回は特に入力制限等は掛けていません)
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
転送元のBINデータにD0、転送先のBCDデータにK2Y20を指令したBIN→BCDデータ変換(BCD)命令を使用します。
BCD命令でK2Y20と指令すると、転送先のデバイスがY20～Y27の8ビット(=BCD2桁)になります。
3.【例題②】7セグメントLEDを表示する(1桁×2)
下記仕様のラダープログラムをBIN→BCDデータ変換命令を用いて解説します。
7セグメントLEDは2桁として、1桁目をY20～Y23、2桁目をY24～Y27に接続されているものとする。
1桁目にD0、2桁目にD1の値を表示する。
※本記事ではタッチパネルで代用します。
BINデータのD0の値をY20～Y23、D1の値をY24～Y27にBCD変換して格納する処置にBIN→BCDデータ変換(BCD)命令を使用します。
【例題①】ではD0→2桁ですが、今回はD0、D1それぞれ1桁ずつになります。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
BIN(2進数)データのD0のデバイス値を常にBCD形式の7セグメントLEDに表示します。
7セグメントLEDは2桁として、1桁目をY20～Y23、2桁目をY24～Y27に接続されているものとします。
1桁目にD0、2桁目にD1の値を表示します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
転送元のBINデータにD0、転送先のBCDデータにK1Y20を指令したBIN→BCDデータ変換(BCD)命令を使用します。(1行目)
転送元のBINデータにD1、転送先のBCDデータにK1Y24を指令したBIN→BCDデータ変換(BCD)命令を使用します。(2行目)
BCD命令でK1Y20と指令すると、転送先のデバイスがY20～Y23の4ビット(=BCD1桁)になります。
4. おわりに
三菱電機製シーケンサiQ-FシリーズにおけるBIN→BCDデータ変換命令について解説しました。
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