NOR回路とは、入力条件のいずれか1ヶでもONすると、出力がOFFする回路です。言い換えると、入力条件がすべてOFFのときのみ出力がONする回路です。
OR回路を反転する回路(NOT OR回路)であることからNOR回路、もしくは否定論理和回路とも呼ばれています。
リレー回路におけるNOR回路を用いることで複数のスイッチの中で、いずれか1ヶでも押すとランプが消灯する回路などが組めるようになります。 このNOR回路の動作はややこしく感じるかもしれませんが、OR回路の反転と考えると覚えやすいかと思います。この記事でNOR回路について理解を深めて頂ければ幸甚です。この記事では、リレー回路で作る「NOR回路」の回路図と動作を解説します。
目次
1.作成するNOR回路の仕様
以下の仕様のNOR回路を作成します。
OR回路の場合「スイッチ(緑)またはスイッチ(赤)を押すと、ランプ(緑)が点灯する。」仕様になります。
ランプ(緑)の点灯/消灯が出力条件になり、この出力条件がNOR回路はOR回路の逆になります。
2.NOR回路の回路図
NOR回路の回路図は以下のようになります。
今回はNOR回路はリレー(継電器)を使用します。
スイッチ(緑)とスイッチ(赤)を並列にリレーのコイルと接続することにより、OR回路を作ります。
リレーのb接点で信号を反転することにより、ORの逆であるNOR回路が完成します。
回路図の解説(一連のイメージ)
繰り返しですが、作成するNOR回路は「スイッチ(緑)またはスイッチ(赤)を押すと、ランプ(緑)が消灯する。」回路です。
スイッチ(緑)とスイッチ(赤)の両方を押していないとき、各々のa接点はOFF(開放)しています。この状態ではリレーのコイルには電流は流れていません。
リレーのコイルに電流は流れていないので、リレーのb接点はON(導通)します。
リレーのb接点はON(導通)すると、ランプ(緑)に電流が流れて点灯します。
赤い矢印は電流が流れていることを表しています。
スイッチ(緑)のみ押したとき、スイッチ(緑)のa接点はON(導通)して、リレーのコイルに電流が流れてます。
リレーのコイルに電流が流れてONすると、リレーのb接点はOFF(開放)します。
リレーのb接点がOFF(開放)すると、ランプ(緑)に電流が流れずに消灯します。
スイッチ(赤)のみ押した場合も同様です。
このように、リレーのb接点を用いることで出力結果を反転(逆)にすることができます。今回はスイッチ2ヶのOR回路を反転してNOR回路を作成しました。
3.使用する部品
このNOR回路を作成するため、以下のものが必要です。
- 押しボタンスイッチ(a接点有)
- 押しボタンスイッチ(a接点有)
- ランプ
- リレー(b接点有)
- スイッチング電源
私が作成した回路はDC24Vを電源とする回路です。スイッチング電源は24Vを使用しました。
配線の様子です。上記の回路図に則り配線してあります。
4.実際の動作
記事冒頭のGIFと重複しますが、実際の動作は以下のようになります。
スイッチ(緑)かつスイッチ(赤)が押されたときのみ、ランプ(緑)が消灯します。
5.おわりに
リレー回路で作る「NOR回路」の配線と動作を解説しました。
「b接点」はコイルがON(励磁)のときにOFFするもので、特に初学者にとって混乱するポイントだと思います。「b接点は逆の動きをするものだ!」と覚えておけばOKだと思います。
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