【テスター使い方】ダイオードテストをする方法(sanwa:CD772)

00_【テスター使い方】ダイオードテストをする方法(sanwa:CD772)

テスター、またはデジタルマルチメータ(Digital Multimeter)とは、電気回路や電子部品の健全性や動作状況を確認するために欠かせない測定機器です。

三和電気計器の「CD772」は、このデジタルマルチメータの一種であり「直流電圧(DCV)」「交流電圧(ACV)」「導通チェック」「抵抗測定」「ダイオードテスト」「温度測定」など、多岐にわたる電気的な測定をする機能を備えています。

この記事では、テスターを使ってダイオードテストをする方法を解説します。使用する機器は、電気・電子分野向け計測機器メーカである三和電気計器(sanwa)のデジタルマルチメーター CD772です。

ダイオードは、電気を一方向にのみ流す半導体素子です。整流回路、フライホイールダイオード、スイッチング電源、各種保護回路など、制御盤や電子機器の内部で広く使用されています。もしダイオードが劣化・短絡・開放してしまうと、電源異常・機器の誤動作・制御回路の破損等につながるため、点検時にその状態を確認することが非常に重要です。

テスターの「ダイオードテスト機能」を使うと、ダイオードが正しく一方向に電流を流しているか(順方向電圧Vfの確認)、また逆方向に電流が流れていないかを簡単に判断できます。特に現場では、スイッチング電源の不具合調査や基板上の素子チェックなどで、ダイオードテストがトラブル原因の切り分けに大きく役立ちます。

注意
本記事で「テスター」とは、sanwa CD772を指します。
テスターによって操作方法や測定レンジが異なる場合がありますので、必ず取扱説明書も併せてご確認ください。

CD772は、プロの現場で求められる安全性、高性能、耐久性を兼ね備えた信頼性の高いモデルです。IEC61010-1に準拠した安全設計モデルであり、CAT.Ⅲ600V / CAT.Ⅱ1000Vまでの測定範囲に対応しており、真の実効値(True RMS)測定を採用しており歪んだ波形でもより正確な測定が期待できます。

CD772の他の使い方については以下のページで解説しております。

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1. CD772の特徴(仕様の紹介)

CD772は、電気回路の状態を正確に把握するために不可欠な、真の実効値(True RMS)に対応した高性能デジタルマルチメータです。近年の電子機器や電源回路では、インバータやスイッチング電源の影響により、高調波を含む非正弦波(歪んだ波形)真の実効値方式で交流を検波するため、このような歪んだ波形の実効値をより正確に測定することが期待できます。

また、IEC61010-1に準拠した安全設計モデルであり、CAT.Ⅲ600V / CAT.Ⅱ1000Vまでの測定範囲に対応しています。本体は二重成形で外周部に衝撃に強いエラストマーを採用しており、過酷な現場での使用にも耐える高い耐久性を持ちます。

10_CD772
出典:三和電気計器株式会社「カタログ:デジタルマルチメータCD772」
ファンクションレンジ
直流電圧
(DCV)
400.0mV、4.000V、40.00V、400.0V、1000V
交流電圧
(ACV)
4.000V、40.00V、400.0V、1000V
直流電流
(DCA)
400.0μA、4000μA、40.00mA、400.0mA、4.000A、15.00A
交流電流
(ACA)
400.0μA、4000μA、40.00mA、400.0mA、4.000A、15.00A
抵抗測定
(Resistance)
400.0Ω、4.000kΩ、40.00kΩ、400.0kΩ、4.000MΩ、40.00MΩ
コンデンサ容量
(Capacitance)
50.00nF、500.0nF、5.000μF、50.00μF、100.0μF
温度-20~300℃
周波数
(Freq)
5.000Hz、50.00Hz、500.0Hz、5.000kHz、50.00kHz、100.0kHz
導通チェック0~85Ω(±45Ω) ※ブザー発音及びランプ点灯
ダイオードテスト開放電圧:約DC1.5V

2. 各部の名称

20_各部の名称
出典:三和電気計器株式会社「取扱説明書:デジタルマルチメータCD772」

3. ダイオードテストの概要と準備・安全確認

ダイオードは、電気をアノード(陽極)からカソード(陰極)の一方向にのみ流す半導体素子です。一般にカソード側にはカソードマークが明記されています。

30_ダイオードの説明

ダイオードテストを行うと、ダイオードが正しく一方向に電流を流しているか(順方向電圧Vfの確認)、また逆方向に電流が流れていないかを確認することが出来ます。CD772は、付属のテストリードを使用することで、ダイオードテストを行うことができます。

CD772の赤色テストリードをアノード、黒色テストリードをカソードに接続した場合、ダイオードが正常であれば順方向電圧の値(一般に0.5V〜0.8V程度の値)が表示されます。この記事ではこの接続を順方向に接続とします。

31_順方向

逆に、赤色テストリードをカソード、黒色テストリードをアノードに接続した場合(逆方向に接続)、ダイオードが正常であれば絶縁されておりOL.(オーバーロード)が表示されます。この記事ではこの接続を逆方向に接続とします。

32_逆方向

3-1. 安全上の確認

本器を安全にご使用いただくため、取扱説明書をよくお読みください。

  • ダイオードテストをする場合、測定対象の回路は必ず電源を切って充電分を放電して無電圧状態にしてから行ってください。
  • 測定中は、テストリードのつばよりテストピン側(先端側)を持たないでください。

3-2. テストリードの準備

テストリードの黒(マイナス側、COM)と赤(プラス側)をCD772の測定端子に接続します。

30_テストリード

4. ダイオードテストの基本手順

今回はダイオード1N4007を使用して、ダイオードテストを実施します。

40_ダイオード

「順方向に接続して順方向電圧(Vf)が0.5V∼0.8Vの範囲内が表示されるか」と「逆方向に接続してOL.(オーバーロード)が表示されるか」を確認します。

CD772でダイオードテストをする手順は以下の通りです。

ステップ1. モードの選択

ファンクションスイッチを回し、目的の測定モード(抵抗値/ダイオードテスト/導通チェック)を選択します。

40_ファンクション選択

ステップ2. ダイオードテストの選択

セレクトボタンを押してダイオードテストを選択します。

43_測定モードの選択

ステップ3. ダイオードテストの実施

まずは順方向(赤色テストリードをアノード、黒色テストリードをカソード)に接続をして順方向電圧(Vf)が0.5V∼0.8Vの範囲内であるか確認します。ダイオードは左側アノード、右側カソードの状態でブレッドボードに刺してあります。

44_ダイオードテスト順方向

ダイオードテストの測定結果(順方向電圧Vf)は0.536Vでした。順方向の接続で0.5V∼0.8Vの範囲内であったため、正常と判断します。

次に逆方向(赤色テストリードをカソード、黒色テストリードをアノード)に接続をしてOL.(オーバーロード)になるか確認します。

44_ダイオードテスト逆方向

ダイオードテストの測定結果はOL.(オーバーロード)のため、正常と判断します。

順方向の接続と逆方向の接続でどちらも正常であったため、測定したダイオードは正常であったと判断します。

5. おわりに

三和電気計器製のテスターCD772を使ってダイオードテストをする方法を解説しました。

今回紹介したCD772は、私が現場で日常的に使用しているモデルであり、精度・操作性・耐久性のいずれも高く「自信をもっておすすめできる」1台です。

特に電気保全や設備メンテナンスの現場では、テスターは必須の機器だと断言できます。CD772は電気回路の状態を正確に把握するために不可欠な、真の実効値(True RMS)に対応した高性能のデジタルマルチメータであり、IEC61010-1に準拠した安全設計モデルです。通常のテスターで測定可能な「電圧の測定」「導通チェック」「抵抗値の測定」等に加えて-20.0℃~300.0℃の温度も測定可能※です。テスターの導入を検討している方は、ぜひ一度CD772を手に取ってみて頂ければと思います。

※)別売りのK熱電対が必要です。

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