工場の生産ラインや生産現場において、装置や設備を制御するにはPLC(プログラマブル ロジック コントローラ)と呼ばれる機器を用いることが一般的です。
PLCは「小さな装置」から「工場の大型設備」まで、多種多様な分野で機械を制御する、いわば”機械の脳みそ”といっても過言ではない機器です。
PLCを用いるメリットは数多くありますが、反面「熟知した人でないと導入が難しい」「低価モデルであっても高額」「開発ソフトウェアが(基本的に)有料」といったデメリットがあります。
また、PLCはラダープログラムやST(ストラクチャード テキスト)、SFC(シーケンシャル ファンクション チャート)といった特殊なプログラミング言語をPLCメーカ毎に使い分けなければなりません。
つまり、知識ゼロからPLCを導入するにはコストと時間がそれなりに掛かることになります。
実際、現場では「PLCを使うほどではないが簡単な制御をしたい。しかも安く!」といった声をよく聞きます。例えば↓のようなものです。
- スイッチを数回押したら、表示灯を一定回数”点滅”させる。
- 光電センサが反応したら、ブザーを一定時間”鳴動”させる。
- リミットスイッチの状態でコンベアのON/OFFを制御する。
このような制御はPLCを用いれば簡単に実現できますが、PLCを導入した時点で装置全体の価格はドガンと高くなります。
前置きが長くなりましたが、アルミフレームやスイッチボックスで有名なSUS(エスユウエス)がPLCを使うとオーバースペックになる場合に用いる、安価な”SiOコントローラ”と呼ばれる制御機器を販売しています。
この記事では、SUS製のSiOコントローラの解説と使用した様子(2ヶ)をレビューします。少しでも導入を検討されている方の参考になればと思います。
目次
1. SiOコントローラとは
SiOコントローラとは『スイッチ』や『センサ』といった入力機器と、『ブザー』や『ランプ』『リレー』といった出力機器を接続して使用する制御機器です。
SiOコントローラは、接続された入力機器の状態を読み取り、予め書き込まれた制御内容に則り出力機器を制御します。
2020年11月現在、SiOコントローラには「Ethernet通信が付いたSiO t」や「入出力3点/2点のミニマムタイプのSiO3.2ミニ」など様々なモデルがラインナップされています。
今回はSiO2を使用します。ラインナップはこちらから確認することができます。
SiO2は、コントローラ前面のe-CONに入力機器・出力機器を接続します。
今回はSUS株式会社様よりお借りした↓のデモ機を使用します。
このデモ機はSiO2に下記の入力機器と出力機器が接続されています。
- 入力機器:リミットスイッチ・光電センサ・押しボタンスイッチ
- 出力機器:ランプ・ブザー・リレー
2. 開発ソフトウェア ”SiO Programmer”
SiOコントローラの制御内容は、SiO Programmerと呼ばれる専用の開発ソフトウェアを使用します。こちらから無料でダウンロードすることができます。
ラダープログラムやST(ストラクチャード テキスト)の知識が無い方でも、直観的に操作することが可能です。
↓拡大した様子です。
このプログラムは以下の動作をさせるものです。
このONさせる条件がOFFすると、2秒後にOUT1がOFF1する。
SiO ProgrammerでSiOコントローラの制御内容を作成後、コントローラ本体とPCを接続してプログラムを書き込みます。
SiO2の場合、Micro-USBケーブルを使用します。
3.【使用例①】スイッチを5回押すとランプ点灯
下記仕様を満たす動作をSiOコントローラを用いて作成します。
SiOコントローラを使用せずにリレー回路のみで行う場合、「押された回数をカウントするカウンタ」と「時間を計測するタイマ」が必要になります。
入出力機器
入力機器と出力機器は以下のようになります。
※使用していない機器がありますがご了承ください。
- 入力機器:押しボタンスイッチ(IN3)
- 出力機器:ランプ(OUT1)
実際の動作イメージ
実際の動作イメージは以下のようになります。
押しボタンスイッチ(IN3)を5回押すと、ランプ(OUT1)が2秒間点灯します。
SiO Programmerの制御内容
SiO Programmerで作成したSiOコントローラの制御内容は以下のようになります。
入力機器(IN3)が5回ONすると、出力機器(OUT1)が2秒間ONする制御内容です。
左側の水色部分に出力機器がONする条件を入力します。今回のONする条件は「押しボタンスイッチ(IN3)を5回押す」です。
右側の青色部分に出力機器がOFFする条件を入力します。今回OFFする条件は「ランプ(OUT1)が点灯してから2秒後」です。
4.【使用例②】光電センサとリミットスイッチでランプ制御
下記仕様を満たす動作をSiOコントローラを用いて作成します。
その後リミットスイッチがONすると、2秒後にランプは消灯する。
本当は光電センサとリミットスイッチでリレーをON/OFFしたかったのですが、動作しているのか分かりづらかったのでランプにしました。
入出力機器
入力機器と出力機器は以下のようになります。
※使用していない機器がありますがご了承ください。
- 入力機器:リミットスイッチ(IN1)
- 入力機器:光電センサ(IN2)
- 出力機器:ランプ(OUT1)
実際の動作イメージ
実際の動作イメージは以下のようになります。
光電センサ(IN2)がONすると、ランプ(OUT1)が点灯し続ける。
その後リミットスイッチ(IN1)がONすると、2秒後にランプ(OUT1)は消灯する。
SiO Programmerの制御内容
SiO Programmerで作成したSiOコントローラの制御内容は以下のようになります。
入力機器(IN2)がONすると、出力機器(OUT1)がONし続け、入力機器(IN1)がONすると、2秒後に出力機器(OUT1)がOFFする制御内容です。
左側の水色部分に出力機器がONする条件を入力します。今回のONする条件は「光電センサ(IN2)がONする」です。
右側の青色部分に出力機器がOFFする条件を入力します。今回OFFする条件は「リミットスイッチ(IN1)がONしてから2秒後」です。
このOFFする条件が成立しない限り、ランプは点灯し続けます。
5. おわりに
SUS製のSiOコントローラの解説と使用した様子(2ヶ)をレビューしました。
小規模な装置であれば、コストダウンの目的で十分使用できる製品だと思います。(機会があれば使ってみます。)
初めまして、SIOを実際使っている方が、中々
無いので、参考になりました。