キーエンスKV-Xシリーズにおける「正弦(SIN)FUN」は、指定した角度(ラジアン単位)の正弦(サイン)を求めるファンクションです。
この記事では、キーエンスKV-X500/X300シリーズにおける正弦(SIN)FUNの指令方法とラダープログラム、ST言語の例について解説します。
キーエンスKV-X500/X300シリーズでは、他の三角関数(余弦・正接)ファンクションが用意されています。他の三角関数ファンクションについては以下のページで解説しております。


また、角度を求める逆三角関数(逆正弦・逆余弦・逆正接)ファンクションが用意されています。逆三角関数ファンクションについては以下のページで解説しております。



目次
1. 正弦FUNの指令方法
正弦(SIN)FUNはLD表現(ラダープログラム)とST表現(ST言語)で使用することができます。

Result := SIN(In);
正弦(SIN)FUNは↓の引数で構成されています。
引数 | タイプ | データ型 | 初期値 | コメント |
---|---|---|---|---|
EN | IN | BOOL | – | イネーブル入力 |
ENO | OUT | BOOL | – | イネーブル出力 |
In※ | IN | – | – | 演算データ |
Result※ | RETURN | – | – | 演算結果 |
ラダープログラム上でデバイスを指定した場合、REAL(単精度浮動小数点)型として扱われます。
LD表現
↓がLD表現で使用したラダープログラム例です。

このラダープログラムでは、演算データであるInDataの正弦(サイン)をOutDataに格納します。
InDataはラジアン単位の角度を指定します。角度(°単位)データの正弦(サイン)を求める場合、事前に角度(°単位)をラジアン単位に変換する必要があります。
キーエンスKV-X500/X300シリーズでは、角度(°単位)をラジアン単位に変換する角度→ラジアン変換(DegToRad)ファンクションが用意されています。角度→ラジアン変換(DegToRad)ファンクションについては以下のページで解説しております。

ST表現
↓がST表現で使用したST言語例です。
OutData := SIN(InData);
このSTでは、演算データであるInDataの正弦(サイン)をOutDataに格納します。※前述のLD表現と同じ動作です。
2.【例題】変数の正弦(サイン)を求める
下記仕様のラダープログラム、STを正弦(SIN)FUNを用いて解説します。
Data01の正弦(サイン)を常にData02に格納する。
変数は全て単精度浮動小数点(REAL)型として扱う。
角度→ラジアンに変換する処理に角度→ラジアン変換(DegToRad)FUNを使用します。
正弦(サイン)を求める処理に正弦(SIN)FUNを使用します。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

変数Data00の角度(°単位)をラジアンに変換した結果を常にData01に格納します。
Data01の正弦(サイン)を常にData02に格納します。
タッチパネルの対象変数は整数部3桁、小数部3桁に設定してあります。
使用する変数
使用する変数は以下になります。
変数 | データ型 | コメント |
---|---|---|
Data00 | REAL | データ00(角度) |
Data01 | REAL | データ01(ラジアン) |
Data02 | REAL | データ02(正弦) |
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。

左側のFUNでは、角度(°単位)データにData00、角度(ラジアン単位)データにData01を指令した角度→ラジアン変換(DegToRad)FUNで、Data00の角度(°単位)をラジアンに変換した結果をData01に格納します。
右側のFUNでは、演算データにData01、演算結果にData02を指令した正弦(SIN)FUNで、Data01の正弦(サイン)をData02に格納します。
ST言語
ST言語は以下のようになります。
//Data00(°単位)→Data01(ラジアン単位)に変換
Data01 := DegToRad(Data00);
//Data01(ラジアン単位)の正弦をData02に格納する
Data02 := SIN(Data01);
3. おわりに
キーエンスKV-X500/X300シリーズにおける正弦(SIN)FUNについて解説しました。
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