リレーシーケンス回路とは、リレー(主に有接点タイプのリレー)やスイッチ・ランプといった機器で構成される制御回路です。 現在では、複雑な制御をする装置や設備にはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いることが主流となっていますが、リレーシーケンス回路で制御されているものは多く存在します。
PLCを制御するラダープログラムは元々リレーシーケンス回路をプログラム上で記述できるように開発されたものです。ラダープログラムを習得するためには、リレーシーケンス回路を理解しておくことが近道になります。この記事では、リレーシーケンス回路の基本的な記号について解説します。
目次
1. リレーシーケンス回路の記号
簡単なリレーシーケンス回路を用いて、構成されている要素の解説をします。
この回路はスイッチAまたはBを押している間、リレーがONする回路です。
1-1. 接点
上の回路のスイッチAとBの記号は”接点”と呼ばれています。
接点には「a接点」と「b接点」という種類があります。
a接点
こちらが「a接点」の図記号です。上の回路のスイッチAとBはともにa接点です。
a接点とは、スイッチを押すとONする接点です。「押せばONする…そりゃそうだろ!」と思うかもしれませんが、これがa接点の動作になります。
b接点
こちらが「b接点」の図記号です。
b接点の動作はa接点と全く逆になります。スイッチを押すとOFF、スイッチを離すとONする動作になります。
「押すとOFF」は少し違和感があると思います。a接点とは逆の動作をするものだと考えると覚えやすいしれません。
ONするのが、a接点
OFFするのが、b接点
1-2. コイル
リレーの”コイル”と呼ばれている部分です。
上のリレーシーケンス回路ではリレーの接点は登場していませんが、リレーも接点を持っています。
リレーのコイルに電流を流すことにより、リレーの接点が動作します。
こちらがリレーのコイルの図記号です。
リレーの接点の動作については後ほど解説します。
1-3. 電源線
いくらスイッチを押してa接点をONさせても、電源に接続していなければコイルに電流を流すことはできません。
両側にある縦線を電源線と呼びます。この記事では左側を(+)側、右側を(-)側としています。
電源線は”母線”とも呼ばれています。
2. リレーシーケンス回路の動作例
上の回路に部品を少し追加して動作例を解説します。
リレーのa接点とランプを追加しました。
この回路はスイッチAまたはBが押されると、ランプが点灯する回路です。
動作① スイッチON⇒リレーコイルがON
スイッチAを押すと、スイッチAのa接点がONしてリレーのコイルに電流が流れます。
「リレーのコイルに電流が流れた」という意味でピンク色にしています。
※スイッチBも同様です。スイッチBを押すと、スイッチBのa接点がONしてリレーのコイルに電流が流れます。
動作② リレー接点ON⇒ランプがON
リレーのコイルに電流が流れるとリレーのa接点がONします。
リレーのa接点がONすると、ランプに電流が流れて点灯します。
「ランプに電流が流れた」という意味でピンク色にしています。
動作③ スイッチOFF⇒リレーとランプがOFF
スイッチAを離すと、スイッチAのa接点がOFFします。
すると、リレーのコイルに電流が流れなくなりリレーのa接点がOFFしてランプが消灯します。
3. 縦書きと横書き
この記事ではリレーシーケンス回路を横書きで解説しました。
学校や会社、参考書によっては縦書きの場合があるかと思います。
明確にどちらが良いとはありません。
私は、他の会社の図面を多々見てきましたが割合は半々くらいです。学校や会社のルールに従うのがいいと思います。
ただ、現在主流になっているラダープログラム開発ツールは(私の知る限り)横書きです。ラダープログラムと合わせるという意味で私は横書きをおススメします。
4. おわりに
リレーシーケンス回路の記号について解説しました。
ここでは解説しませんでしたが、同じa接点であっても「押しボタン」や「フロートスイッチ」など色々な記号が存在します。
以下の参考書は、シーケンス制御について易しく解説しているものです。
シーケンス制御とは?から始まり身近な使用例や世の中のどのようなところに活用されているか、専門的な用語をほとんど使用することなく解説しています。
見やすいイラストが充実しており、スラスラと読めると思います。
本書の後半では三菱電機製のシーケンサを用いて簡単なラダープログラムについても解説しています。
シーケンス制御の全くの初心者に是非オススメしたい参考書です。