この記事では、ラダープログラムにおける自己保持回路の練習問題を3ヶ出題します。
この記事中の問題を解くことができれば、「基本的な自己保持回路が組める」と言えます。さらに、3問目では一連動作の考え方を簡単に触れています。
自己保持回路とは何だろう…?という方は、下記記事で自己保持回路とは何かを解説していますので、宜しければご覧ください。
【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【三菱FX】この記事中のPLCは三菱電機製シーケンサ:FX3G-60MT/ESS、ラダープログラムはソフトウェア:GX Works2を使用しています。
別のプログラムでも動作が同じであれば問題ありません。
目次
1. 【1問目】自己保持回路(OR起動)
下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。
スイッチ(X3)を押すと、ランプは消灯する。
自己保持回路をONする条件はスイッチ(X0)またはスイッチ(X1)の2ヶになり、OFFする条件はスイッチ(X3)になります。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
X0またはX1がONすると、Y0がONし続けます。(自己保持)
X3がONすると、Y0はOFFします。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)またはスイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y0)が点灯し続けます。(自己保持)
スイッチ(X3)を押すと、ランプは消灯します。
解答ラダープログラム
解答のラダープログラムは以下のようになります。
【解説】
「スイッチ(X0)またはスイッチ(X1)を押すと」の条件を作るには、OR回路を使用します。OR回路はそれぞれの接点を並列にすることで作ることができます。
2.【2問目】自己保持回路(AND起動)
下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。
スイッチ(X3)を押すと、ランプは消灯する。
自己保持回路をONする条件はスイッチ(X0)かつスイッチ(X1)になり、OFFする条件はスイッチ(X3)になります。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
X0かつX1がONすると、Y0がONし続けます。(自己保持)
X3がONすると、Y0はOFFします。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)かつスイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y0)が点灯し続けます。(自己保持)
スイッチ(X3)を押すと、ランプは消灯します。
解答ラダープログラム
解答のラダープログラムは以下のようになります。
【解説】
「スイッチ(X0)かつスイッチ(X1)を押すと」の条件を作るには、AND回路を使用します。AND回路はそれぞれの接点を直列にすることで作ることができます。
3.【3問目】自己保持回路(一連動作)
下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。
スイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y1)が点灯し続ける。
スイッチ(X2)を押すと、ランプ(Y2)が点灯し続ける。
ランプ(Y1)は、ランプ(Y0)が点灯していなければ点灯できない。
ランプ(Y2)は、ランプ(Y0)と(Y1)が点灯していなければ点灯できない。
スイッチ(X3)を押すと、すべてのランプは消灯する。
この回路は、ランプがY0→Y1→Y2の順でなければ点灯することが出来ません。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
Y0→Y1→Y2の順でなければONしません。
例えば、Y0がOFFしている状態でX1がONしてもY1はONしません。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
ランプがY0→Y1→Y2の順でONします。
解答ラダープログラム
解答のラダープログラムは以下のようになります。
【解説】
Y1は、Y0がONしていなければONできません。この条件を作るには、Y0のa接点をY1の自己保持回路に入れます。同じように、Y1のa接点をY2の自己保持に入れます。それぞれのa接点は、下記の理由から自己保持の外側に入れる必要があります。
すべてのランプをOFFさせるX7のb接点は、Y0の自己保持に入れるのみでOKです。Y0がOFFすると、Y0のa接点がOFFするのでY1の自己保持がOFF→Y1のa接点がOFFするのでY2の自己保持がOFFします。
この回路は、必ずY0→Y1→Y2の順でなければONしない回路になっており、一連動作を作る場合に用いられることがあります。
4. おわりに
自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しました。いずれも自己保持回路の基本的な使い方になるので、理解しておくと色々な場面で使用できるかと思います。