【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【オムロンCJ】

00_【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【オムロンCJ】

自己保持回路とは、入力条件がONすると出力がONして、その後に入力条件がOFFしても出力がOFFし続ける(ONを保持する)ラダープログラムです。

出力のa接点を入力条件に並列に接続することにより「出力は自身のa接点によってONが保持される」ことが自己保持回路の名前の由来です。

自己保持回路を用いることにより「スイッチを1回押すと、ランプが点灯し続ける」回路を作ることができます。他にも「出力をONし続ける」場合によく使用されます。

この記事では、オムロンCJシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラム練習問題を3ヶ出題します。

注意
この記事のラダープログラムはCX-Programmer Ver. 9.63で作成しており、PLC機種はCJ2Mに設定してあります。

オムロンCJシリーズで作成する自己保持回路の解説とラダープログラム例については以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【オムロンCJ】 【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【オムロンCJ】

以下の記事でも自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しておりますので、宜しければご覧ください。

【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【オムロンCJ】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【オムロンCJ】

三菱電機FXシリーズ・キーエンスKVシリーズの自己保持回路の練習問題は以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【三菱FX】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【三菱FX】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【キーエンスKV】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【キーエンスKV】
注意
解答のラダープログラムはあくまで一例です。別のプログラムでも動作が同じであれば問題ありません。

1.【1問目】ON条件が論理和(OR)の自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(0.00)または(0.01)を押すと、ランプ(1.00)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(0.02)を押すことでランプ(1.00)は消灯する。
スイッチが同時に押された場合、スイッチ(0.02)を優先してランプは消灯する。(点灯しない。)

『0.00または0.01をON条件』『0.02をOFF条件』とする1.00の自己保持回路を作ります。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題①_タイムチャート

0.00または0.01がONすると1.00がONし続け、0.02がONすると1.00はOFFします。

0.00~0.02が同時にONした場合、0.02を優先して1.00はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題①_タッチパネル

スイッチ(0.00)または(0.01)を押すとランプ(1.00)が点灯し続け、スイッチ(0.02)を押すとランプ(1.00)は消灯します。

スイッチが同時に押された場合、スイッチ(0.02)を優先してランプ(1.00)は消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題①_ラダープログラム

0.00と0.01を並列に接続して、1.00の自己保持回路のON条件とすることで「スイッチ(0.00)または(0.01)を押すとランプ(1.00)が点灯する」動作になります。

1.00の自己保持回路のOFF条件に0.02を接続することで「スイッチ(0.02)を押すとランプ(1.00)が消灯する」動作になります。

メモ
並列に接続することを『論理和』『OR接続』と表現します。

2.【2問目】ON条件が論理積(AND)の自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(0.00)かつ(0.01)を押すと、ランプ(1.00)が点灯し続ける。(自己保持)
スイッチ(0.02)を押すことでランプ(1.00)は消灯する。
スイッチが同時に押された場合、スイッチ(0.02)を優先してランプは消灯する。(点灯しない。)

【1問目】では『0.00または0.01をON条件』としていましたが、今回は『0.00かつ0.01をON条件』としています。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題②_タイムチャート

0.00かつ0.01がONすると1.00がONし続け、0.02がONすると1.00はOFFします。

0.00~0.02が同時にONした場合、0.02を優先して1.00はOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題②_タッチパネル

スイッチ(0.00)かつ(0.01)を押すとランプ(1.00)が点灯し続け、スイッチ(0.02)を押すとランプ(1.00)は消灯します。

スイッチが同時に押された場合、スイッチ(0.02)を優先してランプ(1.00)は消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題②_ラダープログラム

0.00と0.01を直列に接続して、1.00の自己保持回路のON条件とすることで「スイッチ(0.00)かつ(0.01)を押すとランプ(1.00)が点灯する」動作になります。

1.00の自己保持回路のOFF条件に0.02を接続することで「スイッチ(0.02)を押すとランプ(1.00)が消灯する」動作になります。(【1問目】と同じ)

メモ
直列に接続することを『論理積』『AND接続』と表現します。

3.【3問目】一連動作の自己保持回路

下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(0.00)を押すと、ランプ(1.00)が点灯し続ける。
スイッチ(0.01)を押すと、ランプ(1.01)が点灯し続ける。
スイッチ(0.02)を押すと、ランプ(1.02)が点灯し続ける。
ランプ(1.01)は、ランプ(1.00)が点灯していなければ点灯できない。
ランプ(1.02)は、ランプ(1.00)と(1.01)が点灯していなければ点灯できない。
スイッチ(0.03)を押すと、全てのランプは消灯する。

ランプは(1.00) → (1.01) → (1.02) の順でなければ点灯することができません。順番に沿わないスイッチが押されても無効になります。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題③_タイムチャート

1.00 → 1.01 → 1.02の順でなければONできません。

例えば、1.00がOFFしていれば0.01・0.02がONしても1.01・1.02はONしません。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題③_タッチパネル

スイッチ(0.00) → スイッチ(0.01) → スイッチ(0.02)の順に押すと、ランプ(1.00) → ランプ(1.01) → ランプ(1.02)の順で点灯します。

スイッチ(0.03)を押すと、全てのランプは消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題③_ラダープログラム

各ランプが点灯できる条件は以下のようになります。

ランプONする条件OFFする条件
ランプ(1.00)スイッチ(0.00)を押すスイッチ(0.03)を押す
ランプ(1.01)スイッチ(0.01)を押す かつ ランプ(1.00)が点灯スイッチ(0.03)を押す
ランプ(1.02)スイッチ(0.02)を押す かつ ランプ(1.01)が点灯スイッチ(0.03)を押す

まず「スイッチ(0.00)が押されるとランプ(1.00)が点灯し続け、スイッチ(0.03)が押されるとランプ(1.00)が消灯する」ラダープログラムを作成します。

次に「スイッチ(0.01)が押されると、ランプ(1.00)が点灯している間、ランプ(1.01)が点灯し続ける」ラダープログラムを作成します。1.01の自己保持回路の条件に1.00の”a接点”を接続します。

スイッチ(0.03)が押されると1.00がOFFするため1.01も併せてOFFします。1.01の自己保持回路の条件に0.03のb接点は必要ありません。(入れても問題ありません。)

1.02の自己保持回路も1.01と同様に作成します。

スイッチ(0.03)が押されると、1.00がOFF → 1.01がOFF → 1.02がOFFと連鎖的にOFFします。

4. おわりに

オムロンCJシリーズで作成する自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しました。

【3問目】はラダープログラムにおける一連動作を作る上で必要な考え方の一つです。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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