【三菱Qシリーズ】タイマの指令方法(低速・高速・積算)

00_【三菱Qシリーズ】タイマの指令方法(低速・高速・積算)

ラダープログラムにおけるタイマとは、入力条件がONしている時間をPLC内部で加算して、設定値に到達すると接点が動作するデバイスです。

三菱電機製のシーケンサでは”T”と表され、Qn(H)/QnPH/QnPRHCPUシリーズでは指令方法により下記の4種類に分けられます。

・低速タイマ
・高速タイマ
・低速積算タイマ
・高速積算タイマ

この記事では、4種類のタイマの指令方法について解説します。

この記事中のラダープログラムはGX Works2で作成しており、プロジェクトのPCシリーズはQCPU(Qモード)、PCタイプはQ03UDEに設定してあります。

1. タイマの指令方法

タイマは同一のアドレスでも、命令の方法により動作(低速・高速・低速積算・高速積算)を選択することができます。

例えば、T0の指令方法を変えることによりタイマの動作は以下のようになります。

・OUT T0:低速タイマ
・OUTH T0:高速タイマ
・OUT ST0:低速積算タイマ
・OUTH ST0:高速積算タイマ

この記事では、以降T0を例に解説させて頂きます。

注意
三菱電機製:シーケンサFXシリーズでは各タイマはアドレスにより動作(低速・高速・低速積算・高速積算)が異なります。使用するシーケンサの取説を確認してください。


2. OUT T0:低速タイマ

低速タイマはOUT T0 K□と指令します。(□は設定値)

こちらが低速タイマを使用したラダープログラム例です。

低速タイマの使用例

低速タイマの設定単位はデフォルトでは100ms(0.1秒)です。

このラダープログラムでは、入力条件であるX0が1秒間(1000ms) ONし続けるとT0のa接点がON(導通)、b接点がOFF(非導通)します。

X0がOFFすると、T0のa接点はOFF(非導通)、b接点はON(導通)状態になります。

タイマの中で一番基本となる指令方法です。

低速タイマの設定単位については1~1000msの間を1ms単位で変更することが可能です。

タイマの設定単位の変更方法については別記事で解説しています。宜しければご覧ください。(PCパラメータで行います。)

00_【三菱Qシリーズ】タイマ単位の設定方法 【三菱Qシリーズ】タイマ単位の設定方法


3. OUTH T0:高速タイマ

高速タイマはOUTH T0 K□と指令します。(□は設定値)

低速タイマとの違いは、OUTの末尾に”H”を付けることです。

こちらが高速タイマを使用したラダープログラム例です。

高速タイマの使用例

高速タイマの設定単位はデフォルトでは10ms(0.01秒)です。

このラダープログラムでは、入力条件であるX0が10ms ONし続けるとT0のa接点がON(導通)、b接点がOFF(非導通)します。

X0がOFFすると、T0のa接点はOFF(非導通)、b接点はON(導通)状態になります。

高速タイマの設定単位については0.1~100msの間を0.1ms単位で変更することが可能です。変更は低速タイマと同様にPCパラメータで行います。


4. OUT ST0:低速積算タイマ

低速積算タイマはOUT ST0 K□と指令します。(□は設定値)

低速タイマとの違いは、T0の先頭に”S”を付けることです。

こちらが低速積算タイマを使用したラダープログラム例です。

低速積算タイマの使用例

設定単位は低速タイマと同様にデフォルトでは100ms(0.1秒)です。

このラダープログラムでは、入力条件であるX0が100ms ONし続けるとST0のa接点がON(導通)、b接点がOFF(非導通)します。

積算タイマの場合はX0がOFFしても、ST0のa接点はON(導通)、b接点はOFF(非導通)状態のままになります。現在値と接点のクリアはRST命令で行います。

上のラダープログラムでは、X1がONするとST0の現在値と接点がクリアされます。


5. OUTH ST0:高速積算タイマ

高速積算タイマはOUTH ST0 K□と指令します。(□は設定値)

低速タイマとの違いは、OUTの末尾に”H”を付け、T0の先頭に”S”を付けることです。

こちらが高速積算タイマを使用したラダープログラム例です。

高速積算タイマの使用例

設定単位は高速タイマと同様にデフォルトでは10ms(0.01秒)です。

このラダープログラムでは、入力条件であるX0が10ms ONし続けるとT0のa接点がON(導通)、b接点がOFF(非導通)します。

低速積算タイマと同様にX0がOFFしても、ST0のa接点はON(導通)、b接点はOFF(非導通)状態のままになります。現在値と接点のクリアはRST命令で行います。


6. おわりに

三菱Qシリーズのタイマ指令方法について解説しました。

他の記事では、ラダープログラム例も併せて解説していますが今回は長くなりそうなので別記事で解説を予定しています。少々お待ちください。

2 COMMENTS

川上

PLCの勉強に使わせて頂いています。
2. OUT T0:低速タイマで質問ですが、「このラダープログラムでは、入力条件であるX0が100ms ONし続けるとT0のa接点がON(導通)、b接点がOFF(非導通)します。」とありますが、この例ではデフォルトで、K10なので0.1[秒] x 10 = 1[秒」後ONではないでしょうか?
わかりやすいサイトなので助かっています。

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電気設計人

ご指摘ありがとうございます。
ご指摘の通り記載間違いです。
誤「X0が100ms ONし続けると・・・」
正「X0が1秒間(1000ms) ONし続けると・・・」
文章を修正致しました。

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