フリッカー回路とは、一定の周期で出力のON/OFFを繰り返す回路です。主にランプやシグナルタワーなどを点滅させる場合に使用されています。
フリッカー(flicker)とは、ディスプレイに生じる細かい”ちらつき”のことを言い、転じてシーケンス制御やラダープログラム業界では一定の時間間隔でON/OFFを繰り返す回路の名称として用いられています。
フリッカー回路は以下のような動作になります。
このフリッカー回路を作る場合、一般にタイマリレーと呼ばれる機器を2ヶ使用します。
この記事では、リレー回路で作る「フリッカー回路」の回路図と動作を解説します。
ラダープログラムで作成するフリッカー回路ついては以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。(三菱FXシリーズで作成しています。)
【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【三菱FX】目次
1. 作成するフリッカー回路の仕様
今回は以下仕様のフリッカー回路を作成します。
※点灯0.6秒、消灯0.4秒を繰り返す。
このフリッカー回路を作成するため、タイマリレーを2ヶ使用します。
2. フリッカー回路の回路図
フリッカー回路の回路図は以下のようになります。
回路図の解説(一連のイメージ)
スイッチ(緑)を押すと、スイッチ(緑)のa接点がON(導通)します。
スイッチ(緑)のa接点がONすると、タイマ1のコイルに電流が流れ、タイマ1がカウントを開始します。
この時点でタイマ1はカウント中のため、タイマ1のa接点はまだON(導通)しません。逆にb接点は導通しているのでランプ(赤)が点灯します。
赤矢印は電流を表しています。
【0.6秒後】タイマ1のコイルに0.6秒間電流が流れると、タイマ1のa接点がON(導通)・b接点がOFF(非導通)になります。
タイマ1のa接点がON(導通)することで、タイマ2がカウントを開始します。この時点でタイマ2はカウント中のため、タイマ2のb接点は導通したままです。
タイマ1のb接点がOFF(非道通)することで、ランプ(赤)は消灯します。
【0.4秒後】タイマ2のコイルに0.4秒間電流が流れると、b接点がOFF(非導通)になります。
タイマ2のb接点がOFF(非道通)になるとタイマ1のコイルがOFFになります。
※ここから連鎖的に状態が変わり、ややこしいので箇条書きで流れを解説します。
- タイマ1のコイルがOFF
- タイマ1のa接点がOFF(非道通)になりタイマ2のコイルがOFF
- 2.と同時にタイマ1のb接点がON(導通)になりランプ赤が点灯
- 2.でタイマ2のコイルがOFFによってタイマ2のb接点がON(導通)
- タイマ2のb接点がONによってタイマ1がカウント開始
説明が上手くありませんね…。
↑の一連の動作が終了すると、タイマ1がカウントを開始します。つまりスイッチ(緑)を押した時点の状態に戻ります。
スイッチを押している間、上記の動作を繰り返します。
3. 使用する部品
このフリッカー回路を作成するため、以下のものを使用します。
- 押しボタンスイッチ(a接点有)
- タイマリレー(a接点有)
- タイマリレー(a接点・b接点有)
- ランプ
- スイッチング電源
私が作成した回路はDC24Vを電源とする回路です。スイッチング電源は24Vを使用しました。
配線の様子です。上記の回路図に則り配線してあります。
タイマリレーの設定値はダイヤルを回してセットします。
右側のタイマリレーが『タイマ1』、左側のタイマリレーが『タイマ2』としています。タイマ1は0.6秒、タイマ2は0.4秒に設定してあります。
見えにくくてすいませんm(__)m
4. 実際の動作
記事冒頭のGIFと重複しますが、実際の動作は以下のようになります。
スイッチ(緑)を押している間、ランプ(赤)が点滅します。
5. おわりに
リレー回路で作る「フリッカー回路」の配線と動作を解説しました。
動作はON/OFFを繰り返すだけなのに、回路はややこしく初学者にとってリレー回路の最初の鬼門と言えます。
最初は「フリッカー回路はこの形!」と覚えてしまうのも有りだと私は思います。
以下の参考書は、リレーやリレー回路についてわかりやすく解説しているものです。
シーケンス制御を理解する前にはリレー回路を十分に理解する必要があります。本書はリレーやスイッチなど機器の原理を丁寧に解説しています。
さらにリレーを用いた自己保持回路や優先回路など色々な回路例を、タイムチャート付きで解説しています。
さらに機器の写真などの図はすべてカラーになっており、大変見やすくなっています。
なお、実際に使うときはフリッカ機能の付いた1つのタイマでやることが多い模様。