【ラダープログラム】フリッカー回路(点滅回路)の練習問題①【キーエンスKV】

00_【ラダープログラム】フリッカー回路(点滅回路)の練習問題①【キーエンスKV】

フリッカー回路とは一定の周期で出力のON/OFFを繰り返す回路のことで、主にランプや表示灯などを点滅させる場合に用いられます。

そもそもフリッカー(flicker)とは、ディスプレイに生じる細かい”ちらつき”のことを指します。転じてシーケンス制御やラダープログラム業界では『一定の間隔でON/OFFを繰り返す回路』の名称として用いられています。

動作は簡単に思えますが、ラダープログラム初学者にとって最初の鬼門と言っても過言ではありません。

この記事では、キーエンスKVシリーズで作成するフリッカー回路の練習問題をを3ヶ出題します。

注意
この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.11で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。

キーエンスKVシリーズで作成する基本的なフリッカー回路については以下のページで解説しております。

00_【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【キーエンスKV】 【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【キーエンスKV】
注意
解答のラダープログラムはあくまで一例です。別のプログラムでも動作が同じであれば問題ありません。

1.【1問目】基本的なフリッカー回路

下記仕様を満たすフリッカー回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(R000)が押されている間、1秒サイクルでランプ(R500)を点滅させる。(ON:0.6秒、OFF:0.4秒)

スイッチは押すとON、ランプはONで点灯するものと捉えてください。

ONしている時間が0.6秒、OFFしている時間が0.4秒のフリッカー回路を作成します。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題①_タイムチャート

入力リレーR000がONしている間、出力リレーR500が1秒周期でON/OFFを繰り返します。R500がON中にR000がOFFすると、R500は即座にOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題①_タッチパネル

スイッチ(R000)が押されている間、1秒サイクルでランプ(R500)が点滅します。(ON:0.6秒、OFF:0.4秒)

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題①_ラダープログラム

左側のR000のa接点が、フリッカー回路を起動させる条件です。T10がR500をONさせる時間で、T11がOFFさせる時間です。

T10とT11はTMR命令として指令されており、設定値×100ms(0.1秒)で動作します。

単純な回路ですが動作は複雑です。動作の詳細は以下ページの【例題①】で解説しております。(仕様も本問題と同じラダープログラムです。)

00_【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【キーエンスKV】 【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【キーエンスKV】

キーエンスKVシリーズにおけるタイマ命令については以下のページで解説しております。

00_【キーエンスKV】タイマ(TMR・TMH・TMS)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】タイマ(TMR・TMH・TMS)命令の指令方法とラダープログラム例

解答ラダープログラム(別解)

キーエンスKVシリーズには、フリッカ命令と呼ばれる、ビットデバイスを指定した時間でON/OFFを繰り返すラダープログラム命令が存在します。

このフリッカ命令を用いることにより「命令1ヶ」で上記仕様のラダープログラムを作成することができます。

問題①_ラダープログラム(別解)

実行条件を入力リレーR000とするフリッカ命令を使用します。

出力がONする時間の設定値(命令の左側)を#60とすることで、出力は0.6秒間ONします。

出力がOFFする時間の設定値(命令の真ん中)を#40とすることで、出力は0.4秒間OFFします。

出力は命令の右側で指定します。今回は出力リレーR500を指定することでランプ(R500)を点滅させます。

キーエンスKVシリーズにおけるフリッカ命令については以下のページで解説しております。

00_【キーエンスKV】フリッカ(FLIK)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】フリッカ(FLIK)命令の指令方法とラダープログラム例

2.【2問目】フリッカー回路(自己保持)

下記仕様を満たすフリッカー回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(R000)を押すと、スイッチ(R001)が押されるまで1秒サイクルでランプ(R500)を点滅させる。(ON:0.6秒、OFF:0.4秒)
スイッチ(R001)を押すと、ランプ(R500)は即座に消灯する。

【例題①】ではスイッチ(R000)を押している間、ランプ(R500)が点滅していました。言い換えるとフリッカー回路の実行条件が「スイッチ(R000)がONしている間」となります。

今回はこの実行条件を「スイッチ(R000)を押してからスイッチ(R001)が押されるまで」に置き換えます。

この実行条件は自己保持回路を作成する必要があります。キーエンスKVシリーズで作成する自己保持回路は以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【キーエンスKV】 【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【キーエンスKV】

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題①_タイムチャート

入力リレーR000がONしてからR001がONするまでの間、出力リレーR500が1秒周期でON/OFFを繰り返します。R001がONすると、R500は即座にOFFします。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題②_タッチパネル

スイッチ(R000)を押して、スイッチ(R001)が押されるまで1秒サイクルでランプ(R500)が点滅します。(ON:0.6秒、OFF:0.4秒)

スイッチ(R001)を押すと、ランプ(R500)は即座に消灯します。

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題②_ラダープログラム

フリッカー回路の実行条件(1問目だとR000のa接点)を、内部補助リレーR1000にしています。

R1000は「R000がON条件」「R001がOFF条件」の自己保持回路のため、R000がONしてからR001がONされるまでの間、ONを保持します。

3.【3問目】フリッカー回路(3回のみ点滅)

下記仕様を満たすフリッカー回路のラダープログラムを作成してください。

仕様
スイッチ(R000)を押すと、1秒サイクルでランプ(R500)が3回点滅する。(ON:0.6秒、OFF:0.4秒)

【2問目】と同様にスイッチ(R000)がONする条件の自己保持回路を作り、フリッカー回路の実行条件とします。この自己保持回路をOFFする条件に「ランプが3回点滅した」カウンタを用います。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

問題③_タイムチャート

スイッチ(R000)を押すと、1秒サイクルでランプ(R500)が3回点滅します。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

問題③_タッチパネル

スイッチ(R000)を押すと、1秒サイクルでランプ(R500)が3回点滅します。(ON:0.6秒、OFF:0.4秒)

解答ラダープログラム

解答のラダープログラムは以下のようになります。

問題③_ラダープログラム

フリッカー回路の実行条件は【2問目】と同様、内部補助リレーR1000を使用します。

R1000の自己保持をOFFする条件をカウンタC0にしています。

このカウンタC0はアウトカウンタ命令を用いて、実行条件がONした回数をカウントします。

C0の実行条件にはR1000のa接点とR500のb接点が指定されており、「R1000がONかつR500がOFFしたとき」にカウントアップします。

アウトカウント命令内の設定値には#3と指定されており、実行条件が3回ONになったらカウンタC0がONします。逆にb接点はOFFするのでR1000の自己保持をOFFします。

R1000がOFFするとC0をリセットします。

アウトカウンタ命令については以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。

00_【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例

4. おわりに

キーエンスKVシリーズで作成するフリッカー回路の練習問題を3ヶ出題しました。

フリッカー回路は2ヶのタイマで互いを制御するので、初心者の方は苦戦するかと思います。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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