【キーエンスKV Nano】カウンタ(C)の機能と動作例

【キーエンスKV Nano】カウンタ(C)の機能と動作例

ラダープログラムにおけるカウンタとは、入力条件がONした回数をPLC内部で加算し、設定回数に達すると接点が動作するデバイスです。

カウンタは「スイッチを押した回数」や「センサがワークを検出した回数」といったデバイスがONした回数を数える用途で広く使用されます。

キーエンスのPLCであるKVシリーズでは、カウンタは C と表記します。

この記事では、キーエンスKV Nanoにおける使用できるカウンタのデバイス番号カウンタ命令の種類について解説します。

メモ
KV Nanoとは、キーエンスKVシリーズにおける「高機能」と「コストパフォーマンス」を両立したパッケージタイプのPLCです。
注意
エンコーダ等に使用する高速カウンタは本記事では扱いません。

1. 使用できるカウンタのデバイス番号

キーエンスKV Nanoの場合、使用できるカウンタのデバイス番号は下記の通りです。

C0~C255:256点  (設定値と現在値は32ビット)
注意
他のKVシリーズ(KV-8000,7000等)は使用できるカウンタ番号が異なります。詳細は使用するPLCのユーザーズマニュアルを参照してください。

カウンタ1点は、接点(1ビット)、設定値(32ビット)、現在値(32ビット)で構成され、カウンタの現在値が設定値と同じになると接点がONします。

デフォルトでは、カウンタの状態(接点、現在値、設定値)は電源切断時も保持されます。CPUシステム設定を変更することにより、電源切断時に「保持する」か「クリアする」か設定することが可能です。設定方法は次項↓で解説します。

カウンタの停電保持設定(ラッチ)の設定方法

KV Nanoの場合、カウンタの状態は電源切断時も保持されます。これはデフォルトで全てのカウンタ(C0~C255)が停電保持領域として設定してあるからです。

この設定領域をKV STUDIO上で変更してPLCに転送することにより、電源切断時にカウンタの状態をクリアすることができます。

カウンタの停電保持の領域を変更する方法は以下の通りです。


1. KV STUDIOのワークスペースからCPUシステム設定を選択

KV STUDIOを起動して、ワークスペース → CPUシステム設定を選択します。

10_CPUシステム設定を選択
[CPUシステム設定]ダイアログボックスが表示されます。

2. 停電保持設定を選択

停電保持設定をクリックして、停電保持(ラッチ)するカウンタの個数を入力します。(デフォルトは256)

11_停電保持設定

デフォルトでは256個のカウンタ(全カウンタ)が停電保持として設定されています。

3. カウンタの停電保持領域を設定

カウンタの停電保持領域を設定します。今回は「20」と入力することで、カウンタC0~C19(20ヶ)が停電保持領域として設定されます。

12_停電保持設定

カウンタC0~C19のみが電源切断時もカウンタの状態が保持されます。

メモ
設定完了後、PLCにCPUシステム設定を転送する必要があります。

2. カウンタ命令の種類

キーエンスKV Nanoでは、下記の3種類の命令でカウンタを動作させます。

命令指令方法
カウンタ:C
アウトカウンタ:OUTC
アップダウンカウンタ:UDC

各々のカウンタ命令の指令方法を次項で解説します。詳細は以下のページでも解説しております。

00_【キーエンスKV】カウンタ(C)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】カウンタ(C)命令の指令方法とラダープログラム例 00_【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例 00_【キーエンスKV】アップダウンタイマ(UDT)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】アップダウンタイマ(UDT)命令の指令方法とラダープログラム例

カウンタ(C)命令

カウンタ命令は”C”と指令します。

こちらがカウンタ命令を使用したラダープログラム例です。

10_カウンタ命令

このラダープログラムは、入力リレーR0がONしている間、R1が3回ONするとカウンタC0がONします。

R0がOFFするとC0の現在値は0にリセットされ、C0の接点がONしている場合はOFFします。


アウトカウンタ(OUTC)命令やアップダウンカウンタ(UDC)命令とは違い、リセット(RES)用の入力がありません。カウンタの現在値をリセットする場合は実行条件をOFFします。

10_カウンタ命令解説1


R0がONしている間、R1が3回ONするとカウンタC0はONします。カウンタ(C)命令には「ONした回数を数えるデバイス」「カウンタをONさせる回数」を指定する必要があります。

10_カウンタ命令解説2
メモ
カウンタをONさせる回数(↑の場合#3)は「カウンタの設定値」と呼びます。

アウトカウンタ(OUTC)命令

アウトカウンタ命令は”OUTC”と指令します。

こちらがアウトカウンタ命令を使用したラダープログラム例です。

10_OUTC命令

このラダープログラムは、入力リレーR0が3回ONするとカウンタC0がONします。カウンタC0にはR0がONした回数が格納されます。

10_OUTC命令解説1


アウトカウンタ(OUTC)命令を用いた場合、一度ONしたカウンタをOFFするにはリセット(RES)命令を用いてリセットする必要があります。

10_OUTC命令2

このラダープログラムは、入力リレーR0が3回ONするとカウンタC0がONして、入力リレーR1がONするとカウンタC0がOFFします。(同時に現在値をリセットします)


アウトカウンタ(C)命令にはカウンタのデバイス番号の他に「カウンタをONさせる回数」を指定する必要があります。

10_カウンタ命令解説2
メモ
カウンタをONさせる回数(↑の場合#3)は「カウンタの設定値」と呼びます。

アップダウンカウンタ(UDC)命令

アップダウンカウンタ命令は”UDC”と指令します。

こちらがアップダウンカウンタ命令を使用したラダープログラム例です。

10_UDC命令

このラダープログラムは、アップ入力であるR0がONするとカウンタC0の現在値が+1して、ダウン入力であるR1がONするとカウンタC0の現在値が-1します。

10_UDC命令解説1

↑のgifでは、アップダウンカウンタ命令内の黒字部分がカウンタC0の現在値を表示しています。


リセット入力であるR2がONすると、カウンタC0の現在値は0にリセットされます。

10_UDC命令解説2

同時に、カウンタがONしている場合はOFFになります。


アップダウンカウンタ命令を用いた場合、カウンタは現在値の「桁上がり時」または「桁下がり時」にONします。

10_UDC命令解説3
10_UDC命令解説4

↑のラダープログラムの場合、現在値が「#9の状態でアップ入力がされた場合」と「#0の状態でダウン入力がされた場合」にカウンタC0がONします。

3. おわりに

キーエンスKVシリーズにおける使用できるカウンタのデバイス番号カウンタ命令の種類について解説しました。

まとめ
  • カウンタは設定した回数ONすると接点が動作するデバイス
  • 電源切断時にカウンタを「保持」または「クリア」は選択可能
  • カウンタにはカウンタ(C)命令、アウトカウンタ(OUTC)命令、アップダウンカウンタ(UDC)命令がある

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