【キーエンスKV】タイマ(TMR・TMH・TMS)命令の指令方法とラダープログラム例

00_【キーエンスKV】タイマ(TMR・TMH・TMS)命令の指令方法とラダープログラム例

「タイマ」命令とは、キーエンスKVシリーズにおける設定した時間、実行条件がONし続けるとコイルがONするラダープログラム命令です。

コイルがONする設定時間の指定方法には複数の種類が存在し、命令により設定値の単位が異なります。

この記事では、キーエンスKVシリーズにおけるタイマ命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。

設定値の単位は複数ありますが、ここでは100ms・10ms・1msを対象とします。※ms(ミリセカンド)は1000分の1秒です。

注意
この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.10で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。
メモ
タイマ(100ms・10ms・1ms)命令はKV-8000・KV-7500/7300・KV-5500/5000/3000・KV-1000・KV-nanoシリーズで使用可能です。※2020年1月現在

1. タイマ命令の指令方法

ここでは、以下のタイマ命令3種類について解説します。

  • TMR:100msタイマ
  • TMH:高速10msタイマ
  • TMS:高速1msタイマ

その他、TMU:高速10μm(マイクロセカンド)タイマがありますが、この記事では割愛します。

メモ
タイマ命令に微分実行型はありません。また、扱うデータの型を指定する「サフィックス」に対応した命令ではありません。

TMR:100msタイマ

100msタイマ命令は”TMR”と指令します。

こちらがTMR命令を使用したラダープログラム例です。

10_TMR命令

※タイマ命令に”TMR”と表記されていませんが問題ありません。

このラダープログラムでは、実行条件である入力リレーR000が5秒間連続してONするとタイマT0がONします。

タイムチャートは以下のようになります。

10_タイムチャート

実行条件の入力リレーR000が5秒間ONし続けると、タイマT0がONします。その後、入力リレーR000がOFFすると直ちにタイマT0がOFFします。

入力リレーR000がONしている時間が5秒に満たない場合、タイマT0はONしません。

実行条件がONしてからタイマがONするまでの時間は5秒でしたが、これがタイマがONする時間となります。上のラダープログラムでは設定値を#50と指定していました。

今回はTMR:タイマ(動作単位100ms)ですので、設定値 × 100ms = タイマがONする時間となります。

メモ
#50は10進数の「定数50」を表しています。

この設定値は0~4294967295の範囲で設定します。

先ほどのラダープログラムは、KV STUDIOの回路上でTMR T0 #50と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。

10_命令挿入

TMH:高速10msタイマ

高速10msタイマ命令は”TMH”と指令します。

こちらがTMH命令を使用したラダープログラム例です。

11_TMH命令

今回も命令文である”TMH”は表記されていませんが問題ありません。

TMH:高速10msタイマ命令の場合、命令文に”H”と表記されます。

11_命令解説

このラダープログラムでも設定値は先ほどと同様に#50ですが、命令文がTMH:高速10msタイマ命令になるので、実行条件がONしてからタイマがONするまでの時間#50 × 10ms = 500ms(0.5秒)となります。

先ほどのラダープログラムは、KV STUDIOの回路上でTMH T0 #50と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。

11_命令挿入

TMS:高速1msタイマ

高速1msタイマ命令は”TMS”と指令します。

こちらがTMS命令を使用したラダープログラム例です。

12_TMS命令

今回も命令文である”TMS”は表記されていませんが問題ありません。

TMS:高速1msタイマ命令の場合、命令文に”S”と表記されます。

11_命令解説

今回の命令文はTMS:高速1msタイマ命令になるので、実行条件がONしてからタイマがONするまでの時間#50 × 1ms = 50ms(0.05秒)となります。

先ほどのラダープログラムは、KV STUDIOの回路上でTMS T0 #50と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。

12_命令挿入

2.【例題①】3種類のタイマを使用する①

下記仕様のラダープログラムを先ほどのタイマ命令3ヶを用いて作成します。

仕様
入力リレーR000がONすると、以下の各タイマが所定の時間経過後にONする。
タイマT0⇒0.05秒後 (TMS:高速1msタイマ命令を使用)
タイマT1⇒0.5秒後 (TMH:高速10msタイマ命令を使用)
タイマT2⇒5秒後 (TMR:100msタイマ命令を使用)

各々のタイマには、()内の指定された命令を使用します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

タイマT0は、TMS:高速1msタイマ命令に設定値を#50と指定することにより#50 × 1ms = 50ms(0.05秒)のタイマとしています。

タイマT1は、TMH:高速10msタイマ命令に設定値を#50と指定することにより#50 × 10ms = 500ms(0.5秒)のタイマとしています。

タイマT2は、TMR:100msタイマ命令に設定値を#50と指定することにより#50 × 100ms = 5000ms(5秒)のタイマとしています。

このように、設定値が一定であってもタイマの命令文によりタイマがONする時間は大きく異なります。

シミュレータの動作

シミュレータを実行している様子は以下のようになります。

例題①_シミュレータ

各デバイスは、黄緑色に塗りつぶされるとONになっている状態です。

タイマは赤字が設定値で、黒字が現在カウントしている時間となります。カウント時間”0”になるとタイマはONします。

各々のタイマは実行条件である入力リレーR000がONしてから所定の時間後にONします。

入力リレーR000がONしてからタイマT0は0.05秒でONするので感覚的には一瞬です。

3.【例題②】3種類のタイマを使用する

下記仕様のラダープログラムを先ほどのタイマ命令3ヶを用いて作成します。

仕様
入力リレーR000がONすると、以下の各タイマがすべて3秒後にONする。
タイマT0 (TMS:高速1msタイマ命令を使用)
タイマT1 (TMH:高速10msタイマ命令を使用)
タイマT2 (TMR:100msタイマ命令を使用)

【例題①】では、各タイマの設定値が同じでタイマ命令の種類が異なることから、タイマがONする時間が各々違いました。

今回の【例題②】では、タイマがONする時間が同じでタイマ命令の種類が異なることから、各タイマの設定値が違くなります。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

タイマT0は、TMS:高速1msタイマ命令に設定値を#3000と指定することにより#3000 × 1ms = 3000ms(3秒)のタイマとしています。

タイマT1は、TMH:高速10msタイマ命令に設定値を#300と指定することにより#300 × 10ms = 3000ms(3秒)のタイマとしています。

タイマT2は、TMR:100msタイマ命令に設定値を#30と指定することにより#30 × 100ms = 3000ms(3秒)のタイマとしています。

結果としてすべてのタイマが入力リレーR000がONした3秒後にONします。

シミュレータの動作

シミュレータを実行している様子は以下のようになります。

例題②_シミュレータ

各デバイスは、黄緑色に塗りつぶされるとONになっている状態です。

タイマは赤字が設定値で、黒字が現在カウントしている時間となります。カウント時間”0”になるとタイマはONします。

入力リレーR000がONすると、すべてのタイマが3秒後にONします。

4. おわりに

キーエンスKVシリーズにおけるタイマ(TMR・TMH・TMS)命令について解説しました。

ラダープログラムにおいてタイマは必須と言えるものです。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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