自己保持回路とは、入力条件がONすると出力がONして、その後に入力条件がOFFしても出力がOFFし続ける(ONを保持する)ラダープログラムです。
出力のa接点を入力条件に並列に接続することにより「出力は自身のa接点によってONが保持される」ことが自己保持回路の名前の由来です。
自己保持回路を用いることにより「スイッチを1回押すと、ランプが点灯し続ける」回路を作ることができます。他にも「出力をONし続ける」場合によく使用されます。
この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラム練習問題を3ヶ出題します。
三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する自己保持回路の解説とラダープログラム例については以下のページで解説しております。
【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【三菱FX】以下の記事でも自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しておりますので、宜しければご覧ください。
【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題②【三菱FX】キーエンスKVシリーズ・オムロンCJシリーズの自己保持回路の練習問題は以下のページで解説しております。
【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【キーエンスKV】 【ラダープログラム】自己保持回路の練習問題①【オムロンCJ】目次
1.【1問目】OFF条件を優先する自己保持回路
下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。
スイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y0)は消灯する。
スイッチ(X0)と(X1)が双方押された場合は、スイッチ(X1)を優先してランプは消灯する。(点灯しない。)
『X0をON条件』『X1をOFF条件』とするY0の自己保持回路を作ります。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
入力リレーX0がONすると出力リレーY0がONし続け、入力リレーX1がONするとY0はOFFします。
X0とX1が双方ONした場合、X1を優先してY0はOFFします。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)を押すとランプ(Y0)が点灯し続け、スイッチ(X1)を押すとランプ(Y0)は消灯します。
スイッチ(X0)と(X1)が双方押された場合、スイッチ(X1)を優先してランプ(Y0)は消灯します。
解答ラダープログラム
解答のラダープログラムは以下のようになります。
X0のa接点とY0のa接点を並列にしてY0のコイルをONさせます。スイッチ(X0)が押されることでY0はONして、そのままY0は自身のa接点によりONを保持します。Y0がONするとランプ(Y0)が点灯します。
X1のb接点を直列に接続することで、スイッチ(X1)が押されるとY0の自己保持がOFFしてランプ(Y0)が消灯します。
2.【2問目】ON条件を優先する自己保持回路
下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。
スイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y0)は消灯する。
スイッチ(X0)と(X1)が双方押された場合は、スイッチ(X0)を優先してランプは点灯する。(消灯しない。)
【1問目】では「OFF条件を優先」していましたが、今回は「ON条件を優先」します。【1問目】に対してラダープログラムの形を少し変更することで作成できます。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
入力リレーX0がONすると出力リレーY0がONし続け、入力リレーX1がONするとY0はOFFします。
X0とX1が双方ONした場合、X0を優先してY0はONします。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)を押すとランプ(Y0)が点灯し続け、スイッチ(X1)を押すとランプ(Y0)は消灯します。
スイッチ(X0)と(X1)が双方押された場合、スイッチ(X0)を優先してランプ(Y0)は点灯します。
解答ラダープログラム
解答のラダープログラムは以下のようになります。
【1問目】に対して、X1のb接点の場所を変更しています。
このラダープログラムの場合、スイッチ(X0)と(X1)が同時に押された場合、X0のa接点を遮るものが無いためX0はONしてランプ(Y0)が点灯します。
3.【3問目】順序がある自己保持回路
下記仕様を満たす自己保持回路のラダープログラムを作成してください。
スイッチ(X1)→スイッチ(X0)の順ではランプは点灯しない。
スイッチ(X2)を押すと、ランプは消灯する。
「スイッチ(X0)が押された」ことを記憶するリレーを用意して、そのリレーがONしているときにスイッチ(X1)を押すとランプ(Y0)が点灯するラダープログラムを作成します。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
入力リレーがX0 → X1の順にONすると出力リレーY0がONし続けます。X1 → X0の順ではY0はONしません。
入力リレーX2がONすると、Y0はOFFします。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)→スイッチ(X1)の順に押すと、ランプ(Y0)が点灯します。逆の順ではランプ(Y0)は点灯しません。
スイッチ(X2)を押すと、ランプ(Y0)は消灯します。
解答ラダープログラム
解答のラダープログラムは以下のようになります。
X0をON条件とする補助リレーM0の自己保持回路を作ります。補助リレーはプログラム上でのみ使用できるリレーです。
M0はスイッチ(X0)が押されてからスイッチ(X2)が押されるまでONし続けます。
X1がON条件とするY0の自己保持回路を作ります。この自己保持回路の条件に「M0のa接点」を用いることでスイッチ(X1)が押されたとき、M0がONしていなければランプ(Y0)は点灯しないものになります。
M0の自己保持回路の条件にX2のb接点を入れることで、スイッチ(X2)が押されるとM0がOFFして、さらにY0もOFFします。
4. おわりに
三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する自己保持回路の練習問題を3ヶ出題しました。
【1問目】はアクチュエータ等の動作するものを「起動スイッチ・停止スイッチで制御する場合」、逆に【2問目】はアラーム(異常)発生を「発生条件・リセットスイッチで制御する場合」に使用されることが多いイメージです。
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