【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【三菱FX】

00_【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【三菱FX】

自己保持回路とは、入力条件がONすると出力がONして、その後に入力条件がOFFしても出力がONし続ける(ONを保持する)ラダープログラムです。

出力のa接点を入力条件に並列で接続することにより「出力は自身のa接点によってONが保持される」ことが自己保持回路の名前の由来です。(詳細は後ほど解説します。)

自己保持回路を用いることにより「スイッチを1回押すと、ランプが点灯し続ける」回路を作ることができます。他にも「出力をONし続ける」場合によく使用されます。

この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラム例を2ヶ解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはGX Works2で作成しており、PCタイプはFX3G/FX3GCに設定してあります。

リレー回路で作成する自己保持回路については以下のページで解説しておりますので宜しければご覧ください。

00_【リレー回路】自己保持回路の回路図と動作 【リレー回路】自己保持回路の回路図と動作

キーエンスKVシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラムについては以下のページで解説しております。

00_【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【キーエンスKV】 【ラダープログラム回路】自己保持回路のラダープログラム例【キーエンスKV】

1.【例題①】自己保持回路をONさせる

下記仕様のラダープログラムを解説します。

仕様
スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が点灯する。
その後、スイッチ(X0)を放してもランプ(Y0)は点灯し続ける。
スイッチ(X0)は押すとON、ランプ(Y0)はONすると点灯するものとする。

スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が点灯し続ける「Y0の自己保持回路」を作成します。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

メモ
GOT(グラフィックオペレーションターミナル)とは、三菱電機製タッチパネルのことで生産現場や工場設備で広く使用されている製品です。
ここでは「GOTはラダープログラムで使用されているデバイスのON/OFF状態や現在値をモニタしたり、変更することができるもの」程度の認識でOKです。
例題①_GOT

スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が点灯し続けます。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題①_タイムチャート

入力リレーX0がONすると、出力リレーY0がONし続けます。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

スイッチ(X0)を押すと、入力リレーX0のa接点がONします。

例題①_ラダープログラム解説1

入力リレーX0のa接点がONすると、出力リレーY0のコイルがONします。出力リレーY0がONするとランプ(Y0)が点灯します。

例題①_ラダープログラム解説2

同時に、出力リレーY0がONしたため出力リレーY0のa接点がONします。

例題①_ラダープログラム解説3

その後、スイッチ(X0)を放して入力リレーX0をOFFしても出力リレーY0のa接点がONし続けるため出力リレーY0がONし続けます。

例題①_ラダープログラム解説4

このような回路は、出力自身のa接点を用いてONし続ける(保持する)ため自己保持回路と呼ばれます。

ただし、この回路では出力リレーY0がOFFしないためランプ(Y0)は消灯できません。【例題②】ではランプを消灯させる条件を追加します。

2.【例題②】自己保持回路をOFFさせる

下記仕様のラダープログラムを解説します。

仕様
スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が点灯する。
その後、スイッチ(X0)を放してもランプ(Y0)は点灯し続ける。
スイッチ(X1)を押すとランプ(Y0)は消灯する。
スイッチ(X0)と(X1)は押すとON、ランプ(Y0)はONすると点灯するものとする。

【例題①】では一度点灯したランプ(Y0)を消灯する手段がありませんでした。今回はスイッチ(X1)を追加してランプ(Y0)を消灯できるようにします。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

例題②_GOT

スイッチ(X0)を押すとランプ(Y0)が点灯し続け、スイッチ(X1)を押すとランプ(Y0)は消灯します。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題②_タイムチャート

入力リレーX0がONすると、出力リレーY0がONし続けます。ここは【例題①】と同様です。

入力リレーX1がONすると、出力リレーY0はOFFします。

X0とX1が両方ONした場合、X1の処理を優先してY0はOFFします。

ラダープログラム

例題②_ラダープログラム

【例題①】に対してX1のb接点を追加しています。X1はb接点のためスイッチを「押すとOFF」「放すとON」します。

例題②_ラダープログラム解説1

スイッチ(X0)を押すと、出力リレーY0が自己保持してランプ(Y0)が点灯し続けます。この時スイッチ(X1)は放した状態です。

例題②_ラダープログラム解説2

スイッチ(X1)を押すと、入力リレーX1のb接点がOFFするため出力リレーY0がOFFしてランプ(Y0)は消灯します。この時、入力リレーX0がONしても出力リレーY0がONしません。

例題②_ラダープログラム解説3

ラダープログラムで使用される自己保持回路の大半は、OFFする条件が必要となります。【例題②】で解説した自己保持回路が一般的なものとなります。

3. おわりに

三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する自己保持回路のラダープログラム例を解説しました。

自己保持回路の基本は【例題②】で解説した形になりますが、自己保持回路は色々なバリエーションが存在しますので、別記事で解説したいと思います。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

doda』といった大手求人(転職)サイトには電気・制御設計の求人が数多く紹介されています。※登録は無料です。

「スキルこそ今後のキャリアを安定させる最も大切な材料」と考える私にとって電気・制御設計はとても良い職業だと思います。キャリアの参考になれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です