三菱電機製シーケンサFXシリーズにおける補助リレーとはプログラム上で使用することができる仮想のリレーです。
この補助リレーはラダープログラム内の「一時的に状態を記憶」したり「複雑な条件を一つの補助リレーにまとめる」といった色々な用途で幅広く使用することができます。
この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する補助リレーを用いたラダープログラム例を2ヶ解説します。
三菱電機製シーケンサFXシリーズにおける使用できる補助リレーのデバイス番号と補助リレーの種類については以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。
【三菱FXシリーズ】補助リレー(M)の機能と動作例目次
1.【例題①】補助リレーを用いた自己保持回路
下記仕様の補助リレーを用いたのラダープログラムを解説します。
【条件1.】スイッチ(X0)を押してON、その後スイッチ(X1)が押されてOFF
【条件2.】スイッチ(X2)を押してON、その後スイッチ(X3)が押されてOFF
このラダープログラムを、補助リレーを用いて作成する方法を解説します。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
【条件1.】はスイッチ(X0)が押されてON、スイッチ(X1)が押されてOFFします。(青色部分)
【条件2.】はスイッチ(X2)が押されてON、スイッチ(X3)が押されてOFFします。(緑色部分)
ランプ(Y0)は【条件1.】または【条件2.】のいずれか一方でもONしている時に点灯(ON)します。(灰色部分)
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
ここでは「GOTはラダープログラムで使用されているデバイスのON/OFF状態や現在値をモニタしたり、変更することができるもの」程度の認識でOKです。
※使用していないデバイスがありますがご了承ください。
ランプ(Y0)は『スイッチ(X0)が押されてからスイッチ(X1)が押されるまで』または『スイッチ(X2)が押されてからスイッチ(X3)が押されるまで』のどちらか一方でも条件が成立している時に点灯します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
【条件1.】と【条件2.】でそれぞれ自己保持回路を作成します。それぞれの自己保持回路に補助リレーを用います。
【条件1.】には補助リレーM0を用いることで「X0がONするとM0がONし続けて、X1がONするとM0がOFF」します。(1行目)
【条件2.】には補助リレーM1を用いることで「X2がONするとM1がONし続けて、X3がONするとM1がOFF」します。(2行目)
出力リレーY0の条件を「M0とM1のOR回路」にすることで、ランプ(Y0)は【条件1.】または【条件2.】のいずれか一方でもONした場合に点灯(ON)します。(3行目)
2.【例題②】補助リレーの接点を使いまわす
下記仕様の補助リレーを用いたのラダープログラムを解説します。
スイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y1)が点灯し続ける。(自己保持回路)
ランプ(Y0)と(Y1)は以下の条件が一つでも成立した場合に消灯する。
・スイッチ(X2)が押されたとき
・スイッチ(X3)が押されたとき
・スイッチ(X4)が押されたとき
・スイッチ(X5)が押されたとき
今回はランプを消灯させる条件をまとめるために補助リレーを用います。
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が点灯し続けます。同様にスイッチ(X1)を押すと、ランプ(Y1)が点灯し続けます。
その後、ランプ(Y0)と(Y1)はスイッチ(X2)~(X5)のいずれか1ヶでも押されると消灯します。
スイッチ(X2)~(X5)はランプを消灯させる共通の条件となります。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
入力リレーX0を入力条件とする、出力リレーY0の自己保持回路を作成します。(1行目)
同様に、入力リレーX1を入力条件とする、出力リレーY1の自己保持回路を作成します。(2行目)
それぞれの自己保持回路は、補助リレーM0がOFFするとOFFします。
その補助リレーM0は、入力リレーX2~X5のいずれか1ヶでもONするとOFFします。
つまり、スイッチ(X2)~(X5)のいずれか1ヶでも押されると、M0がOFFしてY0・Y1の自己保持回路がOFFしてランプ(Y0)と(Y1)が消灯します。
3. おわりに
三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成する補助リレーのラダープログラム例を解説しました。
補助リレーの使用方法は様々で、ラダープログラム作成者が自由に使うことができる便利なデバイスです。
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