フリッカー回路とは一定の周期で出力のON/OFFを繰り返す回路のことで、主にランプや表示灯などを点滅させる場合に用いられます。
そもそもフリッカー(flicker)とは、ディスプレイに生じる細かい”ちらつき”のことを指します。転じてシーケンス制御やラダープログラム業界では『一定の間隔でON/OFFを繰り返す回路』の名称として用いられています。
動作は簡単に思えますが、ラダープログラム初学者にとって最初の鬼門と言っても過言ではありません。
この記事では、オムロンCJシリーズで作成するフリッカー回路のラダープログラム例を3ヶ解説します。
リレー回路で作成するフリッカー回路については以下のページで解説しておりますので宜しければご覧ください。
【リレー回路】フリッカー回路の回路図と動作三菱電機製シーケンサFXシリーズ・キーエンスKVシリーズで作成するフリッカー回路のラダープログラムについては以下のページで解説しております。
【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【三菱FX】 【ノウハウ初級】フリッカー回路(点滅回路)のラダープログラム例【キーエンスKV】目次
1.【例題①】基本的なフリッカー回路
下記仕様のラダープログラムを解説します。
(点灯:0.6秒、消灯:0.4秒)
ONしている時間が0.6秒、OFFしている時間が0.4秒のフリッカー回路を作成します。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
0.00がONしている間、1.00が1秒周期でON/OFFを繰り返します。1.00がON中に0.00がOFFすると、即座に1.00はOFFします。
タッチパネルの動作
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(0.00)を押している間、1秒周期でランプ(1.00)を点滅させます。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
100msタイマ命令であるTIMX命令を2ヶ使います。タイマT10の設定値には&6が指定されており、0.6秒間ONするとタイマT10はONします。(100ms×6=600ms)
100msは0.1秒のため、T10の設定値を&6にすることで0.6秒後にONするタイマとなります。
オムロンCJシリーズにおける100msタイマ命令については以下のページで解説しております。
【オムロンCJ】100msタイマ(TIM・TIMX)命令の指令方法とラダープログラム例スイッチ(0.00)がONしている間、下記動作を繰り返し行われてランプ(1.00)が点滅します。少し複雑なため、まずはタイマT10とT11の動作に着目します。
下記のタイムチャートがタイマT10とT11の動作になります。
- 0.00がONすると、T10はカウントダウンを開始します。(桃色の点線部分)
- 0.6秒経過するとT10がONします。するとT11がカウントダウンを開始します。(オレンジ色の点線部分)
- 0.4秒経過するとT11がONします。T11がONすると即座にT10がOFFします。(ラダープログラム1行目のb接点)
- T10がOFFすることでT11もOFFします。結果としてT11は1スキャンだけしかONしません。
- T11がOFFするため 1. に戻ります。
1.00は「0.00がON」かつ「T10がOFF」している場合にONします。
タイムチャートで表すと以下のようになります。
「0.00がON」かつ「T10がOFF」している場合に1.00がONします。
2.【例題②】交互に点灯するフリッカー回路
下記仕様のラダープログラムを解説します。
ランプ(1.00)と(1.01)が点灯/消灯するタイミングは逆にする。
(ランプ(1.00)は点灯:0.6秒、消灯:0.4秒)
ランプが点灯するタイミングは逆のため、ランプが同時に2ヶ点灯することはありません。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
0.00がONしている間、1.00と1.01が1秒周期で交互にON/OFFを繰り返します。
0.00がOFFすると、1.00または1.01は即座にOFFします。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(0.00)を押している間、1秒周期でランプ(1.00)と(1.01)を交互に点滅させます。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
【例題①】に対して4行目を追加してあります。
ランプ(1.01)が点灯する条件はスイッチ(0.00)が押されている状態でランプ(1.00)がOFFしているときです。つまり「0.00がON」かつ「1.00がOFF」しているときに1.01がONします。
3.【例題③】複数のランプを点灯させるフリッカー回路
下記仕様のラダープログラムを解説します。
それぞれ点灯する時間は0.5秒とする。
【例題①】と【例題②】に対して複雑な動作になります。ここではタイマを4ヶ使用してラダープログラムを作成します。
タイムチャート
タイムチャートは以下のようになります。
0.00がONしている間、1.00~1.03が0.5秒ずつ一連で点灯します。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(0.00)を押している間、ランプを(1.00)→(1.01)→(1.02)→(1.03)→(1.00) … の順に繰り返し点灯させます。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
これまでもラダープログラムに比べると少し複雑になります。
まずはタイマの動作に着目します。タイマT10~T13は以下のような動作をします。
タイマはT10から順番に0.5秒ごとにONして、最後のT13のみ1スキャンだけONします。
次にランプを点灯させる条件に着目します。タイマとランプの動作は以下のようになります。
各々のランプは各タイマの状態を用いてON/OFFさせます。
ランプ | 条件※ |
---|---|
1.00 | :T10がOFF |
1.01 | :T10がON かつ T11がOFF |
1.02 | :T11がON かつ T12がOFF |
1.03 | :T12がON かつ T13がOFF |
※前提条件として0.00がONしている必要があります。
4. おわりに
オムロンCJシリーズで作成するフリッカー回路のラダープログラム例を解説しました。
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