【ノウハウ初級】オフディレイタイマ回路のラダープログラム例【三菱FX】

00_【ノウハウ初級】オフディレイタイマ回路のラダープログラム例【三菱FX】

オフディレイタイマ(Off delay timer)とは、入力条件がONすると即時に出力がONし、その後に入力条件がOFFしてから遅れて出力がOFFする回路です。

ディレイ(Delay)とは、遅らせる・伸ばすといった意味で「入力条件がOFFしてから出力のOFFのタイミングを遅らせることからオフディレイ」と呼ばれています。

この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成するオフディレイタイマ回路のラダープログラム例を2ヶ解説します。

注意
この記事中の三菱FXシリーズは、PCタイプがFX3S・FX3G・FX3GC・FX3U・FX3UCのPLC(シーケンサ)を指します。

1.【例題①】3秒のオフディレイタイマ

下記仕様のオフディレイタイマのラダープログラムを解説します。

仕様
スイッチ(X0)を押すと、即時にランプ(Y0)が点灯する。
その後、スイッチ(X0)を離した3秒後にランプ(Y0)が消灯する。

入力条件のスイッチ(X0)がOFFしてからランプ(Y0)がOFFするまでに3秒の遅れ(ディレイ)があります。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題①_タイムチャート

入力リレーX0がONすると、出力リレーY0が即時にONします。その後、入力リレーX0がOFFしてから3秒後に出力リレーY0が遅れてOFFします。

入力リレーX0がOFFしてから3秒に満たない状態で、再度X0をONすると出力リレーY0はOFFしません。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

メモ
GOT(グラフィックオペレーションターミナル)とは、三菱電機製タッチパネルのことで生産現場や工場設備で広く使用されている製品です。
ここでは「GOTはラダープログラムで使用されているデバイスのON/OFF状態や現在値をモニタしたり、変更することができるもの」程度の認識でOKです。
例題①_GOT

※使用していないデバイスがありますがご了承ください。

スイッチ(緑)を押すと、即時にランプ(緑)が点灯します。その後、スイッチ(緑)を離した3秒後にランプ(緑)が消灯します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

入力リレーX0を入力条件とする、Y0の自己保持回路を作成します。(1行目)

この自己保持回路により、入力リレーX0がONすると出力リレーY0がONして、X0がOFFしてもY0はONし続けます。(ONを保持します。)

ONし続けるY0はタイマT0にてOFFします。タイマT0は「出力リレーY0がON」かつ「入力リレーX0がOFF」してから3秒後にONします。(2行目)

つまり「ランプ(Y0)が点灯している状態で、スイッチ(X0)を離してから3秒後」にタイマT0がONします。このタイマT0がONすることにより、出力リレーY0の自己保持回路をOFFしてランプ(Y0)が消灯します。

メモ
三菱FXシリーズでは、タイマT0は100ms形と呼ばれるタイマです。設定値にK30と指定することにより、タイマは入力条件が3秒間ONしてから接点が動作します。

三菱FXシリーズおけるタイマの詳細については以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。

00_【三菱FXシリーズ】タイマ(T)の使用方法とラダープログラム例【三菱FXシリーズ】タイマ(T)の機能と動作例

2.【例題②】Dレジを用いたオフディレイタイマ

下記仕様のオフディレイタイマのラダープログラムを解説します。

仕様
スイッチ(X0)を押すと、即時にランプ(Y0)が点灯する。
その後、スイッチ(X0)を離した”設定時間”後にランプ(Y0)が消灯する。
設定時間はデータレジスタD0にてGOTから入力できるものとする。

【例題①】と動作は同じですが、オフディレイタイマの時間がデータレジスタD0から変更できる仕様です。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

例題②_GOT

スイッチ(緑)を押すと、即時にランプ(緑)が点灯します。その後、スイッチ(緑)を離した設定時間後にランプ(緑)が消灯します。

設定時間はデータレジスタD0の値を参照します。例えば、データレジスタD0の値が”10”の場合、オフディレイタイマは1秒となります。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

【例題①】に対して、タイマT0の設定値を定数のK30からデータレジスタD0に変更しています。(その他は変更していません。)

例題②_ラダープログラム(解説付き)

このように、タイマの設定値には「Kなどの定数」の他にデータレジスタを指定することができます。データレジスタの値を変更することにより、タイマの設定時間を変更することが可能となります。

3. おわりに

三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成するオフディレイタイマのラダープログラム例を解説しました。

【例題①】のようにタイマの設定値が変更できないものを固定タイマ、【例題②】のようにタイマの設定を変更できるものを可変タイマと表現します。

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