【キーエンスKV】立ち上がり(DIFU)命令の指令方法とラダープログラム例

00_【キーエンスKV】立ち上がり(DIFU)命令の指令方法とラダープログラム例

キーエンスKVシリーズにおける「立ち上がり」命令とは、実行条件がOFF→ONになったときに1スキャンだけONするラダープログラム命令です。

立ち上がり命令は、別名ディフアップ命令立ち上がりパルスと呼ぶことがあります。

立ち上がり命令を用いることにより「スイッチを押した瞬間を検出して一瞬だけON」する回路を作ることができます。

この記事では、キーエンスKVシリーズにおける立ち上がり命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.11で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。
メモ
立ち上がり命令はKV-8000・KV-7500/7300・KV-5500/5000/3000・KV-1000・KV-nanoシリーズで使用可能です。※2020年7月現在

キーエンスKVシリーズでは、対となる立ち下がり(DIFD)命令が用意されています。立ち下がり(DIFD)命令については以下のページで解説しております。

00_【キーエンスKV】立ち下がり(DIFD)命令の指令方法とラダープログラム例【キーエンスKV】立ち下がり(DIFD)命令の指令方法とラダープログラム例

1. 立ち上がり(ディフアップ)命令の指令方法

立ち上がり(ディフアップ)命令には、1種類の指令方法があります。

  • DIFU:立ち上がり(ディフアップ)

DIFUは、微分(differential)とアップ(up)の略です。(だと思います。)

メモ
立ち上がり(ディフアップ)命令に微分実行型はありません。また、扱うデータの型を指定する「サフィックス」に対応した命令ではありません。

DIFU:立ち上がり(ディフアップ)命令

立ち上がり(ディフアップ)命令は”DIFU”と指令します。

こちらがDIFU命令を使用したラダープログラム例です。

10_DIFD命令

このラダープログラムでは、入力条件である入力リレーR000がONになった後の1スキャンだけ内部補助リレーR1000がONします。

ラダープログラムのスキャンとは、プログラム先頭からEND命令までの制御処理が一巡する時間のことで、長くても数十ms、短ければ1msを切る場合もあります。(1msは0.001秒)

つまり、DIFU命令でONするデバイス(↑だとR1000)は、人間の感覚からすると”極一瞬”しかONしません。

タイムチャートは以下のようになります。

10_タイムチャート

入力リレーR000がONすると、1スキャンだけ内部補助リレーR1000がONします。このタイムチャートでは1マスを1スキャンとしています。

この時、入力条件がONしている時間は関係ありません。入力条件がONになった瞬間のみ出力条件がONします。

先ほどのラダープログラムは、KV STUDIOの回路上でDIFU R1000と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。

10_命令挿入

2.【例題①】後入力を優先する自己保持回路

下記仕様のラダープログラムを立ち上がり(ディフアップ)命令を用いて作成します。

仕様
入力リレーR000がONすると、出力リレーR500がONし続ける。(自己保持)
入力リレーR001がONすると、出力リレーR500はOFFする。
入力リレーがどちらもONした場合、後から入力した処理を優先する。

出力リレーR500の自己保持回路を作成します。入力リレーがどちらもONしたとき後の入力を優先するため入力リレーをパルス化します。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題①_タイムチャート

R500は「R000がONするとON」「R001がONするとOFF」します。

R000とR001がどちらもONしたとき、後から入力された処理が優先されます。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

入力リレーR000がONすると、DIFD命令によりR1000が1スキャンだけONします。(1行目)

同様に、入力リレーR001がONすると、DIFD命令によりR1001が1スキャンだけONします。(2行目)

R1000がONすると、出力リレーR500がONして自己保持します。R500はR1001がONすることにより自己保持がOFFします。(3行目)

R1000とR1001はどちらも入力リレーがONした瞬間の1スキャンだけしかONしません。つまり、入力リレーR000とR001がどちらもONした場合、後から入力された方のみONします。

シミュレータの動作

シミュレータを実行している様子は以下のようになります。

例題①_シミュレータ

入力リレーR000がONすると出力リレーR500がONし続けます。入力リレーR001がONすると出力リレーR500はOFFします。

入力リレーがどちらもONした場合、後から入力した処理が優先されます。

3.【例題②】立ち上がりで一瞬だけOFF

下記仕様のラダープログラムについて解説します。

仕様
入力リレーR000がONした瞬間、1スキャンだけ出力リレーR500がOFFします。

出力リレーR500は基本的にONして、入力リレーR000がONした一瞬のみOFFします。(決して実用的な回路ではありません。)

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題②_タイムチャート

入力リレーR000がONした瞬間、出力リレーが1スキャンだけOFFします。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

入力リレーR000がONすると、DIFD命令によりR1000が1スキャンだけONします。(1行目)

R1000は入力リレーR000がONした瞬間の1スキャンしかONしません。

このR1000のb接点は入力リレーR000がONした瞬間の1スキャンのみOFFするため、R500の実行条件とします。

『シミュレータの動作』ではR500が一瞬OFFする様子が目視できなかったため、無しとさせて頂きます。

4. おわりに

キーエンスKVシリーズにおける立ち上がり(ディフアップ)命令について解説しました。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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