キーエンスKV-Xシリーズにおける「除算(DIV)FUN」は、被除算データの値から除算データの値を除算した結果を求めるファンクションです。
この記事では、キーエンスKV-X500/X300シリーズにおける除算(DIV)FUNの指令方法とラダープログラム、ST言語の例について解説します。
キーエンスKV-X500/X300シリーズでは、他の四則演算(加算・減算・乗算)ファンクションが用意されています。他の四則演算ファンクションについては以下のページで解説しております。



目次
1. 除算FUNの指令方法
除算(DIV)FUNはLD表現(ラダープログラム)とST表現(ST言語)で使用することができます。

Result := In1 / In2;
除算(DIV)FUNは↓の引数で構成されています。
引数 | タイプ | データ型 | 初期値 | コメント |
---|---|---|---|---|
EN | IN | BOOL | – | イネーブル入力 |
ENO | OUT | BOOL | – | イネーブル出力 |
In1 | IN | – | – | 被除算データ |
In2 | IN | – | – | 除算データ |
Result | RETURN | – | – | 演算結果 |
LD表現
↓がLD表現で使用したラダープログラム例です。

このラダープログラムでは、被除算データであるInData00から除算データであるInData01を除算した結果を演算結果であるOutDataに格納します。(InData00 ÷ InData01 = OutData)
除算(DIV)FUNは除算データ(In2)が「0」の場合、演算エラーとなります。演算エラーは避けるには「除算データ(In2)を「0」にならないようにする」「除算データ(In2)が「0」の時は除算(DIV)FUNを実行しないようにする」等の対策が必要です。後者のラダープログラム例は↓になります。

ST表現
↓がST表現で使用したST言語例です。
OutData := InData00 / InData01;
このSTでは、被除算データであるInData00から除算データであるInData01を除算した結果を演算結果であるOutDataに格納します。(InData00 ÷ InData01 = OutData)※前述のLD表現と同じ動作です。
2.【例題①】変数の除算結果を求める(整数型)
下記仕様のラダープログラム、ST言語を除算(DIV)FUNを用いて解説します。
Data01の値が「0」の時は除算処理を行わない。
変数は全て1ワード符号なし整数(UINT)型として扱う。
Data00からData01を除算に除算(DIV)FUNを使用します。
変数は全て1ワード符号なし整数(UINT)型のため、小数点以下は切り捨てられます。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

変数Data00からData01を除算した結果を常にData02に格納します。Data01の値が「0」の時は除算処理を行いません。
使用する変数
使用する変数は以下になります。
変数 | データ型 | コメント |
---|---|---|
Data00 | UINT | データ00(In1) |
Data01 | UINT | データ01(In2) |
Data02 | UINT | データ02(Result) |
変数は全て1ワード符号なし整数(UINT)を使用します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。

被除算データにData00、除算データにData01を指令した除算(DIV)FUNで、除算結果をData02に格納します。
除算データであるData01が「0」の場合、除算(DIV)FUNを実行させないため、比較<>(NE)FUNを使用しています。
ST言語
ST言語は以下のようになります。
//Data00からData01を除算した結果をData02に格納
IF Data01 <> UINT#0 THEN
Data02 := Data00 / Data01;
END_IF;
3.【例題②】変数の除算結果を求める(浮動小数点型)
下記仕様のラダープログラム、ST言語を除算(DIV)FUNを用いて解説します。
Data01の値が「0」の時は除算処理を行わない。
変数は全て単精度浮動小数点型(REAL)型として扱う。
Data00からData01を除算に除算(DIV)FUNを使用します。
変数は全て単精度浮動小数点型(REAL)型のため、小数点以下も演算されます。
タッチパネルの動作イメージ
タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

変数Data00からData01を除算した結果を常にData02に格納します。Data01の値が「0」の時は除算処理を行いません。
使用する変数
使用する変数は以下になります。
変数 | データ型 | コメント |
---|---|---|
Data00 | REAL | データ00(In1) |
Data01 | REAL | データ01(In2) |
Data02 | REAL | データ02(Result) |
変数は全て単精度浮動小数点型(REAL)型を使用します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。

被除算データにData00、除算データにData01を指令した除算(DIV)FUNで、除算結果をData02に格納します。(【例題①】と同様)
除算データであるData01が「0」の場合、除算(DIV)FUNを実行させないため、比較<>(NE)FUNを使用しています。(【例題①】と同様)
ST言語
ST言語は以下のようになります。
//Data00からData01を除算した結果をData02に格納
IF Data01 <> REAL#0 THEN
Data02 := Data00 / Data01;
END_IF;
4. おわりに
キーエンスKV-X500/X300シリーズにおける除算(DIV)FUNについて解説しました。
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