【キーエンスKV】アップダウンカウンタ(UDC)命令の指令方法とラダープログラム例

00_【キーエンスKV】アップダウンカウンタ(UDC)命令の指令方法とラダープログラム例

キーエンスKVシリーズにおける「アップダウンカウンタ」命令とは、カウンタと呼ばれるデバイスの現在値を加減算するラダープログラム命令です。

カウンタとは、現在値が設定値と同じになる(カウントアップする)と、接点がONするデバイスです。

カウンタは「スイッチを押した回数」や「センサがワークを検出した回数」といったデバイスがONした回数を数える用途で広く使用されます。

アップダウンカウンタ命令を用いることで、デバイスがONした回数をカウントアップするだけでなく、カウントダウンしてカウンタの現在値を制御することができます。

この記事では、キーエンスKVシリーズにおけるアップダウンカウンタ命令の指令方法とラダープログラム例について解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.11で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。
メモ
アップダウンカウンタ命令はKV-8000・KV-7500/7300・KV-5500/5000/3000・KV-1000・KV-nanoシリーズで使用可能です。※2020年9月現在

カウンタを用いた命令には、本記事で解説するアップダウンカウンタ(UDC)命令とは別にカウンタ(C)命令アウトカウンタ(OUTC)命令があります。以下のページで解説しておりますので、宜しければご覧ください。

00_【キーエンスKV】カウンタ(C)命令の指令方法とラダープログラム例【キーエンスKV】カウンタ(C)命令の指令方法とラダープログラム例 00_【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例【キーエンスKV】アウトカウンタ(OUTC)命令の指令方法とラダープログラム例

1. アップダウンカウンタ命令の指令方法

アップダウンカウンタ命令には、1種類の指令方法があります。

  • UDC:アップダウンカウンタ

UDCはアップダウンカウンタ(up down counter)の略です。

メモ
アップダウンカウンタ命令に微分実行型はありません。また、扱うデータの型を指定する「サフィックス」に対応した命令ではありません。

UDC:アップダウンカウンタ命令

アップダウンカウンタ命令は”UDC”と指令します。

こちらがアップダウンカウンタ命令を使用したラダープログラム例です。

10_UDC命令

このラダープログラムは、アップ入力であるR0がONするとカウンタC0の現在値が+1して、ダウン入力であるR1がONするとカウンタC0の現在値が-1します。

10_UDC命令解説1

↑のgifでは、アップダウンカウンタ命令内の黒字部分がカウンタC0の現在値を表示しています。


リセット入力であるR2がONすると、カウンタC0の現在値は0にリセットされます。

10_UDC命令解説2

同時に、カウンタがONしている場合はOFFになります。


アップダウンカウンタ命令を用いた場合、カウンタは現在値の「桁上がり時」または「桁下がり時」にONします。

10_UDC命令解説3
10_UDC命令解説4

↑のラダープログラムの場合、現在値が「#9の状態でアップ入力がされた場合」と「#0の状態でダウン入力がされた場合」にカウンタC0がONします。


先ほどのラダープログラムは、KV STUDIOの回路上でUDC #0 #9と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。 (小文字でもOKです。)

10_命令挿入

2.【例題】スイッチが3回押されるたびにランプ点灯

下記仕様のラダープログラムをアップダウンカウンタ(UDC)命令を用いて作成します。

仕様
スイッチ(R0)を押すと、カウンタC0の現在値が+1する。
スイッチ(R0)が3回押される度に、ランプ(R500)が点灯する。
スイッチ(R2)を押すと、カウンタC0の現在値を0にリセットしてランプ(R500)を消灯させる。
※カウンタC0はリングカウンタとして扱う。

ラダープログラムにおけるリングカウンタとは、現在値が設定値に到達した状態でカウントアップすると初期値に帰還するカウンタを指します。今回ではカウンタC0の値が0→1→2→0→1→…と循環させます。

アップダウンカウンタ命令を用いることで、カウンタは自動的にリングカウンタとして扱われます。

タイムチャート

タイムチャートは以下のようになります。

例題①_タイムチャート

入力リレーR0がONするとカウンタC0が+1され、カウンタC0の現在値が2の状態で+1されると出力リレーR500がONします。

入力リレーR2がONするとカウンタの現在値は0にリセットされます。

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

例題①_タッチパネル

スイッチ(R0)を押すとカウンタC0の現在値が+1して、3回押される度にランプ(R500)が点灯します。

スイッチ(R2)を押すと、カウンタC0の現在値を0にリセットしてランプ(R500)を消灯させます。

カウンタC0の現在値は0→1→2→0→1→…と循環するリングカウンタとなります。カウンタC0の現在値はタッチパネル右上に表示します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

アップダウンカウンタ(UDC)命令のアップ入力(UP)にR0のa接点を用いることで、スイッチ(R0)が押されるたびにカウンタC0を+1します。

今回はカウントダウンする必要がないため、ダウン入力(DW)には常時OFFのCR2003を使用します。

アップダウンカウンタ(UDC)命令の設定値に#2を指定することで、カウンタC0が2の状態でカウントアップするとC0が桁上がりして0に戻ります。桁上がりしたタイミングでC0はONします。

リセット入力(RES)にR2を用いることで、スイッチ(R2)が押されるとカウンタC0が”0”にリセットされます。この時、カウンタC0がONしていればOFFになります。

3. おわりに

キーエンスKVシリーズにおけるアップダウンカウンタ(UDC)命令について解説しました。

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