【キーエンスKV】文字列検索(SFIND)命令の指令方法とラダープログラム例

【キーエンスKV】文字列検索(SFIND)命令の指令方法とラダープログラム例

キーエンスKVシリーズにおける「文字列検索」命令とは、文字列から、指定した文字列を検索するラダープログラム命令です。

文字列検索命令を用いることにより「表示器や外部機器から入力された文字列」や「ラダープログラム内で格納した文字列」から検索する文字列の開始位置(何文字目か)を検索する回路を作ることができます。

この記事では、キーエンスKVシリーズにおける文字列検索命令の指令方法ラダープログラム例について解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはKV STUDIO Ver.11で作成しており、対応機種はKV-N24に設定してあります。
メモ
文字列検索(SFIND)命令はKV-8000・KV-7500/7300・KV-5500/5000/3000・KV-1000・KV-nanoシリーズで使用可能です。※2024年7月現在

1. 文字列検索命令の指令方法

文字列検索命令には2種類の命令方法があります。

SFIND:毎スキャン実行型
@SFIND:微分実行型(パルス実行型)
メモ
毎スキャン実行型とは、実行条件がONしている間、その命令を毎スキャン実行するものです。対して微分実行形(パルス実行型)とは、実行条件がOFF→ONになったときの1スキャンのみ実行するものです。

SFIND:毎スキャン実行型の文字列検索命令

毎スキャン実行型の文字列検索命令は”SFIND”と指令します。

↓が毎スキャン実行型の文字列検索(SFIND)命令です。

10_SFIND命令

↓命令部分を拡大

10_命令拡大

このラダープログラムでは、実行条件である入力リレーR000がONしている間、データメモリDM0に文字列”ABCDEFG”から文字列”C”の開始位置である「2」を格納します。

注意
文字列の左端(先頭)は開始位置0になります。
10_開始位置イメージ

n:検索開始位置を指定することにより、検索対象の文字列の検索範囲(検索開始位置)を指定することができます。以下のラダープログラムの場合、検索開始位置を「#4」とすることで、開始位置0~3の文字列を検索対象外として無視され、開始位置4以降の文字列が検索対象となります。

10_開始位置イメージ2
注意
S2で指定した文字列が見つからなかった場合、またはS2の文字列長が0の場合、D:検索結果には$FFFF(16進数のFFFF)が格納されます。
メモ
文字列の定数を指定する場合、文字列を””で囲います。

定数で文字列が指定された場合、半角文字はASCIIコード(1バイト)、全角文字は「プロジェクト言語設定」で指定した言語またはシフトJISコード(2バイト)になります。

メモ
全角文字は、KV-8000/7000シリーズは「プロジェクト言語設定」で指定した言語、KV-5500/5000/3000・KV-1000・KV-nanoシリーズはシフトJISコード(2バイト)になります。

ASCII(American Standard Code for Information Interchange)コードとは、数値・アルファベット・記号などを7ビットで表現した文字コードの一つです。7ビットは「10進数では0~127」「16進数では0x00~0x7F」の128ヶで表されます。ASCIIコード一覧表は以下のページで解説しております。

【情報基礎】アスキーコード一覧表 【情報基礎】ASCII(アスキー)コード 一覧表

@SFIND:微分実行型(パルス実行型)の文字列検索命令

命令の頭文字に@を付けることで、実行条件がOFF→ONになったときの1スキャンしか実行されない微分実行型(パルス実行型)となります。

↓が微分実行型(パルス実行型)の文字列検索(@SFIND)命令です。

11_@SFIND命令

↓命令部分を拡大

11_命令拡大

微分実行型(パルス実行型)の場合、命令文の左側に上向きの矢印が表示されます。

このラダープログラムは、実行条件である入力リレーR000がOFF→ONになった瞬間に、データメモリDM0に文字列”ABCDEFG”から文字列”C”の開始位置である「2」を格納します。

このように、微分実行型(パルス実行型)の場合は実行条件がOFF→ONになった瞬間の1スキャンしか命令が実行されません。

KV STUDIOにおける命令挿入の方法

文字列検索命令をKV STUDIOの回路上に挿入するには「命令文 検索対象の文字列 検索する文字列 検索結果 検索開始位置(バイト数)」と回路上で入力します。

先ほどの毎スキャン実行型の文字列検索(SFIND)命令を挿入する場合、KV STUDIOの回路上でSFIND “ABCDEFG” “C” DM0 #0と入力してEnterキーを押します。

20_命令挿入

2.【例題①】定数の文字列検索

下記仕様のラダープログラムを文字列検索命令を用いて解説します。

仕様
スイッチ(R000)を押すと、文字列ABCDEFGから文字列Dの開始位置をデータメモリDM0に格納する。
スイッチ(R001)を押すと、文字列ABCDEFGから文字列EFの開始位置をデータメモリDM0に格納する。
スイッチ(R002)を押すと、データメモリDM0に定数”0”を格納する。(クリアする)

「スイッチ(R000)、スイッチ(R001)を押したときの文字列検索」は文字列検索命令を使用します。

「スイッチ(R002)を押したときのDM0に定数”0”を転送」はデータ転送命令を使用します。データ転送(MOV)命令については以下のページで解説しております。

00_【キーエンスKV】データ転送(MOV)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】データ転送(MOV)命令の指令方法とラダープログラム例

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

例題①_タッチパネル

スイッチ(R000)を押すと、文字列ABCDEFGから文字列Dの開始位置をデータメモリDM0に格納します。

スイッチ(R001)を押すと、文字列ABCDEFGから文字列EFの開始位置をデータメモリDM0に格納します。

スイッチ(R002)を押すと、データメモリDM0に定数”0”を格納します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

スイッチ(R000)を押すと、文字列検索(SFIND)命令によりデータメモリDM0に文字列”ABCDEFG”から文字列”D”の検索結果である「3」が格納されます。

スイッチ(R001)を押すと、文字列検索(SFIND)命令によりデータメモリDM0に文字列”ABCDEFG”から文字列”EF”の検索結果である「4」が格納されます。

スイッチ(R002)を押すと、データ転送(MOV)命令によりデータメモリDM0に定数”0”を転送します。

3.【例題②】DMに格納された文字列検索

下記仕様のラダープログラムを文字列検索命令を用いて解説します。

仕様
スイッチ(R000)を押すと、データメモリDM0~に文字列ABCDEFを格納する。
スイッチ(R001)を押すと、データメモリDM0~に文字列UVWXYZを格納する。
スイッチ(R002)を押すと、データメモリDM0~の文字列から文字列Dの開始位置をDM20に格納する。
この時、文字列Dが見つからない場合、DM20には$FFFFを格納する。
スイッチ(R003)を押すと、データメモリDM0~20(21点)に定数”0”を格納する。(クリアする)

「スイッチ(R000)、スイッチ(R001)を押したときの文字列の格納」は文字列転送命令を使用します。文字列転送(SMOV)命令については以下のページで解説しております。

【キーエンスKV】文字列転送SMOV命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】文字列転送(SMOV)命令の指令方法とラダープログラム例

「スイッチ(R002)を押したときの文字列検索」は文字列検索命令を使用します。

「スイッチ(R003)を押したときのDM0~20に定数”0”を転送」は一括転送命令を使用します。一括転送(FMOV)命令については以下のページで解説しております。

00_【キーエンスKV】一括転送(FMOV)命令の指令方法とラダープログラム例 【キーエンスKV】一括転送(FMOV)命令の指令方法とラダープログラム例

タッチパネルの動作イメージ

タッチパネルの動作イメージは以下のようになります。

例題②_タッチパネル

スイッチ(R000)を押すと、データメモリDM0~に文字列ABCDEFを格納します。スイッチ(R001)を押すと、データメモリDM0~に文字列UVWXYZを格納します。

スイッチ(R002)を押すと、データメモリDM0~の文字列から文字列Dの開始位置をDM20に格納します。この時、文字列Dが見つからない場合、DM20には$FFFFを格納します。

スイッチ(R003)を押すと、データメモリDM0~DM20(21点)に定数”0”を格納します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

スイッチ(R000)を押すと、文字列転送(SMOV)命令によりデータメモリDM0を先頭に文字列”ABCDEF”を格納します。スイッチ(R001)を押すと、同様にデータメモリDM0を先頭に文字列”UVWXYZ”を格納します。

スイッチ(R002)を押すと、文字列検索(SFIND)命令によりデータメモリDM20~にDM0~から文字列Dの検索結果が格納します。

スイッチ(R003)を押すと、一括転送(FMOV)命令によりデータメモリDM0~DM20(21点)に定数”0”を一括で転送します。

4. おわりに

キーエンスKVシリーズにおける文字列検索(SFIND)命令について解説しました。

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ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

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