【三菱FXシリーズ】インバース(INV)命令の指令方法とラダープログラム例

00_【三菱FXシリーズ】インバース(INV)命令の指令方法とラダープログラム例

三菱電機製シーケンサFXシリーズにおける「インバース」命令とは、インバース命令直前まで(ラダープログラムの左側)の結果を反転させるラダープログラム命令です。

反転とは「ONであればOFFに」「OFFであればONに」するという意味です。

この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズにおけるインバース命令の指令方法ラダープログラム例について解説します。

注意
この記事中のラダープログラムはGX Works2で作成しており、PCタイプはFX3G/FX3GCに設定してあります。

三菱電機製シーケンサFXシリーズにおいて、インバース命令は以下のシーケンサ・バージョンで使用することが可能です。

FX3S:Ver1.00以降
FX3G:Ver1.00以降
FX3GC:Ver1.40以降
FX3U:Ver2.20以降
FX3UC:Ver1.00以降

1. インバース命令の指令方法

インバース命令は”INV”と指令します。

こちらがINV命令を使用したラダープログラム例です。

10_INV命令

X0の右隣にある斜線がINV命令です。

10_INV命令強調

このラダープログラムは「X0がOFFのときにY0がON」「X0がONのときにY0がOFF」するものです。

INV命令はラダープログラム右側の状態を反転するため、Y0はX0が反転した状態になります。

動作イメージは以下のようになります。

10_動作イメージ

因みに、インバース(inverse)とは『逆の・あべこべの』といった意味になります。

↑のラダープログラムの真理値表は以下のようになります。

10_真理値表

X0が0のときY0が1になり、X0が1のときY0が0になります。


先ほどのラダープログラムはGX Works2の回路上で INV と入力してEnterキーを押すと命令が挿入されます。(小文字でもOKです。)

10_挿入イメージ
メモ
INV命令にデバイスを割り付ける必要はありません。

2.【例題①】直列a接点を反転してNAND回路

下記仕様のラダープログラムをINV命令を用いて解説します。

仕様
スイッチ(X0)かつスイッチ(X1)かつスイッチ(X2)が押されたときのみ、ランプ(Y0)が消灯する。

スイッチは押されたときに”1”、ランプは”1”で点灯するものとすると、スイッチがすべて”1”のときのみランプが”0”になります。

このような動作をNAND(否定論理積)回路と呼び、AND(論理積)回路の反転したものになります。

真理値表

入力条件が3ヶのNAND(否定論理積)回路の真理値表は以下のようになります。

例題①_真理値表

この真理値表では、”1”=ON、”0”=OFFを表しています。

X0~X2のすべてが”1”のときのみ、Y0が”0”になります。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

例題①_GOT動作イメージ

スイッチ(X0)~(X2)がすべて押されたときにランプ(Y0)が消灯します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題①_ラダープログラム

INV命令より左側が、X0・X1・X2のAND回路になります。INV命令でAND回路を反転させることによりNAND回路になります。

3.【例題②】並列a接点を反転してNOR回路

下記仕様のラダープログラムをINV命令を用いて解説します。

仕様
スイッチ(X0)またはスイッチ(X1)またはスイッチ(X2)が押されると、ランプ(Y0)が消灯する。

【例題①】と同様、スイッチは押されたときに”1”、ランプは”1”で点灯するものとすると、スイッチが1ヶでも”1”のときにランプが”0”になります。

このような動作をNOR(否定論理和)回路と呼び、OR(論理和)回路の反転したものになります。

真理値表

入力条件が3ヶのNOR(否定論理和)回路の真理値表は以下のようになります。

例題②_真理値表

この真理値表では、”1”=ON、”0”=OFFを表しています。

X0~X2のいずれか1ヶでも”1”のとき、Y0が”0”になります。

GOTの動作イメージ

GOTの動作イメージは以下のようになります。

例題②_GOT動作イメージ

スイッチ(X0)~(X2)のいずれか1ヶでも押されるとランプ(Y0)が消灯します。

ラダープログラム

ラダープログラムは以下のようになります。

例題②_ラダープログラム

INV命令より左側が、X0・X1・X2のOR回路になります。INV命令でOR回路を反転させることによりNOR回路になります。

4. おわりに

三菱電機製シーケンサFXシリーズにおけるインバース命令について解説しました。

以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。

ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。

各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。

ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。

doda』といった大手求人(転職)サイトには電気・制御設計の求人が数多く紹介されています。※登録は無料です。

「スキルこそ今後のキャリアを安定させる最も大切な材料」と考える私にとって電気・制御設計はとても良い職業だと思います。キャリアの参考になれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です