ワンショット出力とは、スイッチ等の入力条件がONすると、ランプ等の出力が一定時間ONするものです。入力条件がONし続けても出力は一定時間後にOFFします。
↑の回路はスイッチ・ランプ・タイマリレーを用いて作成したリレー回路です。PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は使用していませんが、もちろんPLCを用いて同じ動作をする回路が作成できます。
この記事では、三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成するワンショット出力のラダープログラム例を2ヶ解説します。
キーエンスKVシリーズでは、ラダープログラムの命令でワンショット(SHOT)命令が存在します。以下のページで解説しておりますので宜しければご覧ください。
【キーエンスKV】ワンショット(SHOT)命令の指令方法とラダープログラム例
先ほどのリレー回路で作成するワンショット回路は以下のページで解説しております。
【リレー回路】ワンショット回路の回路図と動作
目次
1.【例題①】スイッチONでランプがワンショット出力
下記仕様のラダープログラムを解説します。
スイッチを押し続けてもランプは2秒後に消灯する。
※スイッチを押している時間が2秒未満の場合、スイッチを離した時点でランプも消灯する。
入力条件をスイッチ(X0)、出力条件をランプ(Y0)とするワンショット回路を作成します。
このラダープログラムは、スイッチを押している時間が2秒に満たない場合『ランプはスイッチを離した時点で消灯』します。必ず2秒間点灯するラダープログラムは【例題②】で解説します。
スイッチ(X0)が押されてから2秒間を測定するため、タイマ(T)を使用します。タイマの機能と動作例は以下のページで解説しております。
【三菱FXシリーズ】タイマ(T)の機能と動作例
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
ここでは「GOTはラダープログラムで使用されているデバイスのON/OFF状態や現在値をモニタしたり、変更することができるもの」程度の認識でOKです。
スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が2秒間点灯します。スイッチを押し続けてもランプは2秒後に消灯します。
スイッチを押している時間はラダープログラム内でタイマ(T0)を使用します。(後ほどラダープログラムで解説)
タイマ(T0)の現在値、つまりスイッチ(X0)が押されている時間はGOT右上に表示しています。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
スイッチ(X0)を押すと、入力リレーX0のa接点がONします。X0がONすると出力リレーY0がONしてランプが点灯します。
同時にタイマ(T0)がONしてカウント開始します。今回はタイマの設定値をK20(2秒)にしてあります。
↑のラダープログラムはX0がONしてから1.1秒経過した時点です。
その後、X0がONし続けるとタイマ(T0)のカウント値はK20(2秒)に到達します。T0のカウント値が2秒に到達するとT0のb接点がOFF(非道通)します。
この時、スイッチを押し続けていてもT0のb接点がOFFしているためランプは消灯します。
このラダープログラムは、X0がONする時間が2秒未満の場合ランプはスイッチを離した時点で消灯します。必ず設定時間点灯するラダープログラムは【例題②】で解説します。
2.【例題②】必ず設定時間ランプが点灯するワンショット出力
下記仕様のラダープログラムを解説します。
スイッチを押し続けてもランプは2秒後に消灯する。
※スイッチを押している時間が2秒未満の場合でも、ランプは必ず2秒間点灯する。
今回はスイッチの押している時間が2秒未満であっても、必ずランプが2秒間点灯するラダープログラムを作成します。(こちらの方が実用的だと思います。)
GOTの動作イメージ
GOTの動作イメージは以下のようになります。
スイッチ(X0)を押すと、ランプ(Y0)が2秒間点灯します。スイッチを押し続けてもランプは2秒後に消灯します。ここは【例題①】と同様です。
【例題①】では、スイッチを押している時間が2秒に満たない場合『ランプはスイッチを離した時点で消灯』しましたが、今回は『必ず2秒間点灯』します。
ラダープログラム
ラダープログラムは以下のようになります。
【例題①】に対して、Y0を自己保持するためのa接点を追加します。
この自己保持回路によって、X0が一瞬でもONするとY0は2秒間ONし続けます。
スイッチを押している時間が2秒に満たない場合↓
↓スイッチを押している時間が2秒以上の場合↓
どちらの場合もY0が必ず2秒間ONします。
3. おわりに
三菱電機製シーケンサFXシリーズで作成するワンショット出力のラダープログラム例を解説しました。
以下の参考書はラダープログラムの色々な「定石」が記載されており、実務で使用できるノウハウが多く解説されています。私がラダープログラムの参考書として自信をもってオススメできるものです。
ただし、ラダープログラムやPLCといった電気・制御設計は参考書やWebサイトのみでの学習には必ずどこかで限界が来ます。
各メーカが販売しているPLCやプログラム作成のアプリケーションを揃えるには安くても十万円以上の大きな費用が掛かり、独学は現実的ではありません。
ラダープログラムの一番現実的な学習方法は「実務で経験を積む」ことです。電気・制御設計者はこれから更に必要な人材になり続けますので、思い切って転職する選択肢もあります。
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